03 面白がってるんでしょ?

応援席に戻ると あかりちゃんはキョロキョロとしている。なにかの小動物みたい。
ヒロインはどんな動作も可愛い。

「鈴香ちゃん!やっと帰って来た!
……えと。そっちの子は?」

この図体デカイ男を捕まえて その言い方!
さすがあかりちゃん!

「そうやんな? あかりも外部組やで知らんわな? 志波ってゆーんやで?」

「そっかぁ、志波くん、だね?私、海野 あかり。よろしくね?」

「あぁ。」

初対面なんだ。じゃあ、どうしてついて来る気になったのよ。
この無表情さで考えてる事は さっぱり分からない。

「鈴香ちゃん? 座らないの?」

「あー 座る 座る。それで 次の種目は?」

「え〜っとね。次は――」

あかりちゃんがプログラムを出す間に 隣に座る。志波はなぜか私の隣。さっきから 微かにニヤニヤとしている。かなり分かりづらい表情だと思うけど。

「あ。あった!次は 障害物!」

「ふーん。その後は……400M走に借り物競走……ね。」

あかりちゃんが持つプログラムを覗き込んでると また隣で志波が分かりにくく笑う。

「今度はなに。」

「左見てみろ。気付かれないようにな。」

どうしてそんなに小声なんだか。
えーっと、気付かれないように……ね。
さりげなく前屈みになって志波の身体の間から 見てみる。
女の子……達だけど? それ以前に誰もこっち見てない……し。―――いや、見てる。すごく見てるのが居る!

「凄い顔だろ」

「もしかして このために来たんじゃないでしょうね?!」

素早く身体を志波で隠し 小声で責め立てる。やっぱり 嫌な感じ当たった。

「さぁ、どうだかな。」

「何考えてるのか知らないけど、止めてよね!」

「気にするな。」

気になる! なんかバカな事しでかしそう!この目! ただ面白がってるだけだ!
とにかく知らん顔してないと。
学校なんだし下手な事はしでかさないはずだけど この間のあかりちゃんとの一件もある。
見ない、気付かない。これが一番。

「ククッ」

「だから、何が面白いのか分かんないんだって。それ以前に、私を構う理由も分かんないけどね。」

「簡単な理由だ。ただ飽きない、それだけだ。」

ほら、まだ見てるぞ?と身体を引いて私に見せようとする。
余計な事はしないでほしい。
こっちに来たらどうすんの!

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