25 学生って大変よね

HR中のクラスはざわめいていた。
女の子達は私が戻った事で 一緒じゃないとホッとした様子。

「びっくりしたね? 佐伯くんどこに行ったんだろ。」

「さぁ? どっかで寝てるんじゃない?」

ムカついてるから 余計に素っ気ない返事を返す。

「まぁ 私としては鈴香ちゃんと一緒じゃないんだったら どうでもいいんだけどね?」

「あかりちゃんって何気にひどいね……」

「ふふっ 鈴香ちゃんにはそんな事言わないもん。じゃあ 私体育祭の練習に行くね?」

「うん。頑張って?」

「頑張る〜!じゃあね!鈴香ちゃん!」

ふわふわした笑顔を残し 飛び出して行く。
この先佐伯といい雰囲気になるのかな……
教室に人が居なくなるのを待って 佐伯の鞄も一緒に持ち保健室に戻る。
扉に手をかけると中から佐伯の声が聞こえてきた。

「すごく幸せな夢だったんです。」

「ふ〜〜ん? どんな夢?」

「え? それはちょっと……」

「いいじゃない。誰にも言わないし。」

「好きな子を抱きしめて それから……」

「それから?」

「いや。その先はちょっと。」

「キスして〜 制服のファスナー下ろして〜」

またバカな事言ってる! それに順番は逆!カラリと扉を開ける。

「なっ! なんで知ってるんですか!」

「ま〜ね。で?どうだった?」

「えと 柔らかくて甘くて声が……って!
鈴香! いっ! いつからそこに?!」

ベットの上でアタフタと慌てる佐伯と 頬杖をついてニンヤリと笑う保健医。

「さぁ?いつからかしら。少なくとも 今の台詞はちゃんと聞こえたわね」

「えっと 夢!だから! 実際の鈴香にはなんにもしてないから!」

「ぶっ!」

「保健医! 笑わない!佐伯の変態!」

寝たら忘れたのかよ!また怒りが込み上げてきて 鞄を佐伯にぶつける。

「え? コレって……」

「もうHRも終わったわよ?あんたは保健室に居たって言わないでよね!」

「う うん。分かった。」

「それから! 時間いいの?!」

「え? わっ いけね!それじゃ 奥野先生。ありがとうございました!失礼します!」

「はいは〜い 気をつけてね〜!」

慌てて飛び出す佐伯を見送ると盛大に笑う。

「あはははは〜!! ちょっと!ちょっと!彼忘れてるわよ!それってどうなの〜?」

「笑いすぎ! でも 忘れてる方がいいんじゃない?」

「ぶっ! あんた災難だわね〜!ぐふっ!」

派手に笑い転げる姿に呆れ返る。やっぱり大人としてどうなのよ。
でも まぁ 忘れてる方が都合がいいわね。このまま スルーにしとこう。
それと 佐伯には酒入りチョコは食べさせないようにしよう。

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