「こっ こら! 何やってんの!」
「何ってさ…… 脱がせてる……」
ツーーっとファスナーを下ろすと肩に手をかけ制服を下ろした。
「ひゃっ? ちょっ!佐伯ストップ!」
「……ん?」
無理矢理身体を捻り佐伯に向くと、本格的に据わった目。
マズイ。これは男の目だ。
シラフならこんな事はしないだろうけど 今の佐伯は酔っ払い。止めるのは難しい。力任せに押されたら 間違いなく負ける。
それにさっきより酔っ払ってる。
……酔っ払って……る?
あれだ!3個目のチョコ!
素早く時計に目を向ける。あれから15分。もうちょっとで落ちるはず。
「なぁ 鈴香…… 俺 鈴香とキスしたい。」
「あー それはー。ちょっ!脱がせないの!わっ!いたっー!」
時計の針を気にしつつ なんとかごまかそうとしていると ストラップを下ろす佐伯。思わず身体をひくと 逃げられると勘違いした佐伯に両手を取られベットに組み伏せられた。
本格的にまっずーい。これは目がマジだ。
8割は途中で落ちるだろうけど 残りの2割はどう転ぶか分からない。まいった。ホントにまいった。酒の勢いでやっちゃったら 可哀相でしょ。
どこまで酔いは進んだんだろうとまじまじと顔を見つめると……
まぁ いい男だわね。何年か先が楽しみな。っていうか あのおバカな性格がなければ いいなと思ったのかも。いまさら無理だけど。
スッと目を細めた佐伯の顔が近づいてきて―――思わず目を閉じた。
ダメじゃん。条件反射で目を閉じたら。
押し付けられた唇を感じながら 頭の中で冷静に突っ込む。どうしたものか。いろいろと考えてはみるものの、少し開いた唇に合わせ、自分も唇を開き佐伯を迎え入れている。
どうしようもなくダメ人間だな、私。
ヤバイと思いながらも 佐伯の舌に合わせて勝手に動く。条件反射って恐ろしい。
でもさ……。佐伯って上手くなってない?あの一回きりで 私に合わせるなんて……これってさ。 ………いや やっぱマズイ。
頭の中がフル回転している。
綺麗に言うなら 天使と悪魔な私がせめぎあってる。
……天使ってアレだ。コイツの台詞だ。
冷静にボケツッコミも忘れない。
「―――んっ!―――」
頭の中で軽く一人劇場を繰り広げてたせいで 押し付けられてた右手が動いてる事に気付いてなかった。
マズイ。着実に行為が進んでる。
23 学生って大変よね