22 学生って大変よね

さて、どうしたものか。このバカを引きはがす方法は……

「鈴香って いい匂いする。」

「あー。 さいですか。」

ここまで酔ってると加減しないから 無理矢理逃げるのは危険か。
言い聞かせるか 無理矢理寝かすか……
これは後者だな。多分初めて酔ったはずだから 長くはもたないだろうし。

「佐伯? ちょっと寝転ぶよ?起きてるのツライでしょ?」

「鈴香も?」

「はいはい。一緒に寝ますよー」

「うん。じゃあ 寝る。」

頭をぶつけないように……なんかぶつけた方がいい気もするけど……。
とりあえず 2人で寝転ぶ。なんでか 私が腕枕をした形になって向かい合う。腰に回された腕はやっぱり剥がれない。

――寝付くまでのガマンだ。私。

「なぁ。すごく気持ちいい。」

「あー それはよかったねぇ」

佐伯は足で私を挟み込むと ぐりぐりと胸に顔を埋める。

―――抱き枕かっつーの!!

「俺 すごーく好きー。」

「あー。はいはい。」

さっさと寝やがれ!! 案外しぶとい佐伯に苛々も募る。

せっかくの至福の時間をこんなバカに邪魔されるなんて。保健室は鬼門かもしれない。これで2回目だし。
ん? 2回目? そういえばこの間はコイツって、いつここに来たの?

「佐伯 起きてる?」

「ん? なに?」

「あんた、この間いつからここに居た?」

「この間…… この間は昼休みが終わる前。」

それじゃまるまる1限分じゃない!

「寝顔がすっごく可愛くてー」

女子高生みたいに語尾を伸ばすんじゃない!

「……キスがすっごく甘かった……。」

ヤバ! 余計な話振ったかもしんない!

ムクッと顔を上げた佐伯の目は座ってる。本格的な酔っ払いの顔だ。
ここは逃げるべき。少し緩んだ腕を外し逃走にかかる。
ベットから飛び降りようとした瞬間後ろから抱きつかれた。

「……どうして逃げるんだ?」

「そりゃあ 逃げるでしょ。」

「そんなに俺が嫌い?」

「好きも嫌いも…… あんた酔っ払いでしょ」

「酔ってない。」

それは酔っ払いの誰しもが言う台詞なんだよね。

まるで自分を客観的に見てるようだ。なんか 耳が痛い。きっと洋子は大変だったろう。ごめん、これからは気をつけるよ。

自分の過去何年か分の人生を猛反省していると 背中になんかの感触。

なんだ?と振り返るとファスナーを下ろしながら脱がせようとする佐伯。

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