21 学生って大変よね

「このチョコってかなり酒効いてないか? 鈴香は大丈夫なのか?」

「ん? 別に。美味しいけど?」

「そういえば これってかなりきついタイプだわね。あんた酒飲みになれるわよ?」

いや。酒飲みなのよ、本当の私は。

佐伯は 二口目で止まってる。仕方ないか。これって本格的に酒だもん。

「やぁね。その顔で大酒飲み。あんたは日本酒とか合いそうね」

「ソンナコトナイワヨ? カクテルとか似合いそうでしょ?」

「い〜や。居酒屋で大吟醸をコップ酒だわね」

げっ! なんでバレてる? この人こっちの世界の人なのに!

2人でチョコを片手に言い合いをしていると それまで黙っていた佐伯が立ち上がり 私の隣にポスンと座る。

「どうしたの? 佐伯。」

「……俺さ。俺……」

何だろう?と俯く佐伯を覗き込むと突然顔を上げる。

……なんか様子が変。

「俺 鈴香好き。」

ガバッと抱きしめられる。

――コイツ酔ってる!!

「ぶっ あははは! 佐伯くん酔ってるじゃない! チョコ2個で!」

「ちょっ! 笑い事じゃないでしょ!なんとかしてよ!」

「なんとかって言われても〜」

引きはがそうとしても かなりきつく抱きしめられてるから剥がれない。

「仕方ないわねぇ〜」

クスクスと笑いながら近づいてくると 佐伯の口にもう一口チョコをほうり込む。

「げっ! あんた何やってんの!」

「あははは〜 まぁ 彼の気の済むようにしてあげなさい!じゃあね!」

そう言うと チョコと部屋の鍵を片手に出ていく。カチャカチャと鍵を閉める音。

―――冗談じゃない!―――

立ち上がろうとするとグイッと引っ張られ抱きしめられ……じゃないな。これはどっちかと言えば私が抱きしめてる形だ。

―――膝をついた私の胸の中にいる佐伯。

なんでチョコ2個で酔っ払うのよ。いくら未成年だからって限度あるでしょ。そのまま飲んだわけでもないのに。
溜め息まじりで佐伯の顔を覗くと 真っ赤になってニマニマと笑っている。この顔を親衛隊とやらが見たら卒倒するだろな。

「佐伯? 上履きくらい脱ぎなよ。」

「ヤだ。離したら逃げる。」

「逃げない逃げない。だから脱ぎな?」

「……絶対?」

「はいはい。絶対。汚れるから、ね?」

「じゃあ 脱ぐ。」

これは典型的な酔っ払いだ。こういう時は大人しく従うに限る。佐伯は片手で上履きを脱ぐと ベットの下に投げる。隙あらば逃げてやろうと思ってたのに もう片方の手はガッチリ私の腰に手を回してる。

……ちっ。

prev 21/25 next
しおりを挟む/しおり一覧

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -