20 学生って大変よね

昼休みも残り10分。
貴重な睡眠時間なのにバカがやってきた。

「なんか用?」

「あのさ。これ。」

渡されたのは チョコ。ウォッカ入りの。あれか?餌付けしようとしてる?

「さっきから探してたんだけど 見つからなくて。」

なんかどっかで聞いた台詞だ。そして やっぱりあのポーズ。ここまで懐かれる理由がどうしても分からない。

「あらっ ここのチョコ美味しいのよね?お酒効いてて。ってあんたこれ好きなの?」

「うん。食べる?」

ひょいと手渡すとその箱で頭を叩かれた。

「いたっ! もー なによ?」

「なによ?じゃないでしょ?せっかくあんたの為に買って来てくれたのに。お礼くらい言いなさい?」

「食べたそうにしたの自分じゃない!えーっと、佐伯? ありがと」

言われた事はもっともな事だから 頭を摩りながらお礼を言うと 目を丸くしていた佐伯が嬉しそうに笑った。

「いや。いいよ」

「じゃっ 食べましょ? 私好きなの。」

「結局食べるんじゃない。生徒を殴るなんて最低なんじゃないの?」

「聞き捨てならないわね。指導よ指導」

佐伯に椅子を出し いそいそと包装紙を開ける姿を見ながら佐伯がまだ目を丸くしている。

「どうかしたの?」

「いや。先生と仲いいんだなって。」

「あー まぁね。気が合うから。」

「あんた達 なにブツブツ言ってるの?食べちゃうわよ?」

「はいはい。食べるわよ。佐伯、あんたも食べる――って授業どうするの?」

そういえば そろそろ始まるんじゃ?といいかけた瞬間ベルが鳴る。

「俺 図書室で自習するって。その方が煩わしくないし。鈴香は?」

手に持ってた教科書なんかを上げて見せる。まぁ 教室にいたらクラスの女の子に囲まれて、勉強どころじゃないんだろう。

「この子はここで研究という名の自習。『何故昼寝は明るくても出来るのか』つまりただのサボリね。」

「そうなのか?」

「充分立派な自習でしょ?」

チョコを口にほうり込みながら答える。相変わらずパンチが効いてて美味し。

「……俺も居ていい?」

「いいわよ〜? この子だけじゃつまんないんだもん」

「こら。勝手に決めないの!佐伯も居座る気満々でチョコ食べない!」

これじゃあ ゆっくり眠れないじゃない。こんないい加減な人間を保健医にした奴は いったい誰なのよ! 

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