15 学生って大変よね

彼は エロの帝王……

じゃなくて 志波 勝己。

ホントにデカイ。これが高校生。なにをやったらこんなにガタイがよくなるんだか。

「……どうした?」

「あ? ううん。なんでも。」

そういや こっちに来てから、ときメモキャラって初めて会うよね?珍しくて思わず見つめちゃったじゃない。
まぁ 若王子先生は別として。ついでに あのバカも別として。

「城峰。こんなところで何やってるんだ?」

「えーっと。ちょっと迷子中。って言うか 私の事知ってる?」

「あぁ。さっき知った」

「え? さっき? どういう事?と その前に名前教えて欲しいんだけど。」

「志波 勝己……」

……まただ。こいつも名前しか言わない。ここでは これが流行りなんだろうか?

「志波くんね? それで理由は?」

「見てた。」

「何を?」

「廊下を物凄い勢いで連れられて行くところから……」

「え……?」

「海野と佐伯がバカな言い合いをして お前が逃げ出して……」

「……う……」

「その後 だいぶたってから二人が気付いて 大慌てしてるとこまで。」

「ずっと見てたの?」

「あぁ。面白かった。」

そう。面白かったんだ。私は面白くないんだけどね。そして 会話が続かない。本当に無口な男だ。

「志波くんはどうしてここにいるの?」

「……俺の家そこ」

あ。そうなんだ。たまたまってことね?って事は……

「あのさ 志波くん。道教えてくれない?さっきも言ったはずだけど 迷子になっちゃって。」

「わかった」

「え? あ? ちょっと待って!」

人の鞄を勝手に持つと スタスタと公園の外に歩き出す。
お願いです。日本語を話してください。

男は黙って背中で語れってか?確かに似合う。似合うんだけど……
その歳で悟ってるんならごまかしてるとしか思えない。

「ここまで来たら平気だろ。じゃあな 城峰。」

最後の最後まで背中で語る男は、見慣れた大通りまで私を案内というかついて来させると にやりと笑って去っていく。

クールと言えばクールだけど……

あ! お礼言い忘れた!……まぁ 次に会った時でいいか。

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