14 学生って大変よね

「いったい何なの!二人とも!」

佐伯は最初からイッちゃってたからともかく あかりちゃんまで!
見れば 二人は小突きあいをしている。この数日で何があったの!

「だから どうしちゃったの?」

「だって 佐伯くんが私と鈴香ちゃんの間を邪魔するんだもん!」

「それは 海野!お前だろ?!俺と鈴香の邪魔してるのは!」

「ちょっと!いったいどうしたのよ!」

「鈴香は俺の運命の天使なんだからな!」
「鈴香ちゃんは私の運命の女神さまなんだからね!」

…………は? 今なんて?
なんか テンシだのメガミだの聞き慣れない単語が聞こえたような?

「ちょっと〜! 佐伯くん真似しないで!」

「バカ言うな! 俺は最初に出会った時から天使と呼んでるんだ!」

「私だって 最初からそうだもん!」

聞き間違いじゃないんだ……この二人は 最初に会った時から、天使だの女神だのって思ってたんだ……
佐伯は最初からバカだったけど……あかりちゃんまで……
言い合う二人に気付かれないよう そっと後ずさり。まっすぐ帰ろうかと思ったけど 追い掛けられて家がバレたら……

ストーカーが二人?!
そんなのヤだ!!
言い合う二人を置いて、近くの曲がり角を適当に曲がって曲がって……

……ここはどこだ?

こんな裏道知るわけないじゃん!こんな事になったのも 全部あのバカ二人のせいだ!
知らない住宅街をウロウロしていると、小さな公園を見つける。

疲れた。ちょっと休憩しよ。

ブランコに座り少し揺らしてみる。なんだか ホントに黄昏れてる感じだよ…帰り道もわかんないし。なんか悲しくなってきた。

23にもなって迷子。いや 15か。

キィーキィーと悲しげに鳴くブランコと、赤く染まった空が余計に気分を落ち込ませる。しばらく 俯いてブランコを揺らしていると、突然黒い影が降って来た。

「どうかしたか?」

低い抑揚のない落ち着いた声。
振り返ると、同じ学校の制服を着た男の子が立っていた。
無表情なその顔 その瞳。
威圧感のあるその高い身長に、がっしりとした体格。

――私は彼を知っている。

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