13 学生って大変よね

最近のあかりちゃんはなんだか危険だ。
あの佐伯との事故ベロチュー以来私が佐伯に接触するのを阻んでいるかのように見える。……ような気がする。

――知らないはずなのに――

あの日なぜ佐伯がサボったのか。もしかしたらずっと保健室にいたんじゃないか。それが聞きたいのに。
聞いてどうする?と言われればどうもしないんだけど、いたのかいなかったのか。それが気になる。
帰りにでも取っ捕まえて……そう思ってたのに、妙に敏感なあかりちゃんがにっこりと近づいてくる。

「鈴香ちゃん 一緒に帰ろ?」

「う?うん。いいよ?どこか寄ろうか?」

「ホントに? じゃあ 鈴香ちゃんち!」

…………はい??

「鈴香ちゃんのお部屋が見たい!」

「え? あ? ちょっと待って!」

「その話。僕も入れてくれないかな?」

佐伯!! いつの間に!!って言うか 何??

「あれっ? 佐伯くんは、お・う・ち!の用事があるんでしょう〜?」

「今日は た・ま・た・ま!予定がないんだよね。 海野さん?」

何? 何が起こってるの?!なんでこの二人に火花が散ってるの?!あんた達!この後、事故チューED迎えるんでしょ?!

「じゃあ 行こうね!鈴香ちゃん!」
「それじゃ 行こうか! 城峰さん!」

右腕にあかりちゃん。左腕には佐伯。二人が噛み付きそうな勢い。しかも笑顔。
ズルズルと引っ張られる先に、救世主を発見。

「はるひ!お願い!助けてー!」

「鈴香……。なんやスゴイなぁ」

「ちょっ!感心してないで 何とかして!」

「あ〜アタシには無理!まぁ頑張りや?」

「あっ!こらっ!見捨てるな!」

お達者で〜とひらひらと手を振るはるひを通り過ぎ、ズルズルと引きずられて行く。道行く生徒はぎょっとした顔で その場を避ける。

………そりゃあ 当然だよね。

どうして こうなったのか検討もつかないけど、意味がわかんない事に巻き込まれてるのは明らか。
頭のどこかの糸がブツッと切れて二人の手を力いっぱい振りほどいた。

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