……まいったな……。
連休も空け、日常が戻りつつある平日。私の場合 五月病と呼ばれるものにかかっている気がするが……
「ちゃんと佐伯くんが起こしに来てくれたでしょ? やっぱり、保険かけて正解だったわよね?」
「ねぇ。それなんだけど、彼にいつ鍵渡した?」
「昼休み中だけど?」
「乙女が寝てるはずの保健室の鍵を渡す先生がどこにいるのよ!何かあったらとか思わなかったの?!」
「普通なら渡さないわね。ま、あんたが襲う事はあっても、彼が襲うなんて有り得ないでしょ」
相変わらず入り浸ってる保健室。
短い時間の付き合いにもかかわらず 的確な分析をする彼女。なんだか 洋子に似てる。
「で? 襲ってないでしょうね?」
「あ?」
「……襲ったんだ……」
「してない!やってない!」
「あんた女の子なんだから やってないとか言うの 止めなさいね?」
「……ねぇ。普通の教師ならそんな事言わないわよ?それ以前に法に触れるでしょ。なんで平気なの?」
「……面白そうだもの。あんたが普通の女子高生ならけしかけないけど。ま、いつでもベット貸すから言いなさい?空き教室とか止めなさいね?」
「言わないし、やんないし、けしかけないの!」
あれでよく首にならないもんだ。
まぁ 私以外には『優しい保健の先生』って顔してるけど。
そんな高校と言う名の学校に相応しくない会話をした後の教室。あかりちゃんの天然発言攻撃を受ける。
「土曜日 鈴香ちゃん保健室で寝てて授業サボったでしょ?
佐伯くんもサボってたんだよ?
私 てっきり鈴香ちゃんと一緒にいたのかと思ってたよ〜」
「は?」
「だって 仲いいでしょ?佐伯くんも鈴香ちゃん好きだし。でも!私の方が大好きだけどね!」
キャッ言っちゃった!と顔を手で覆っている。なんか嫌な事を聞いた気がする。
「あ あのさ あかりちゃん。ちょっと前の台詞 もう1回言ってくれないかな?」
「佐伯くんより私の方が何倍も大好き!」
いや。それって台詞変わってるから。
「もうちょい前」
「佐伯くんと鈴香ちゃん一緒にいたのかな?」
「……あいつもサボってたの?」
「うん。って事は一緒じゃなかったんだ!よかった〜〜!もし一緒だったら……」
「一緒だったら……?」
ヤバイ。もしかしてあかりちゃんって、もう佐伯に好きフラグ立ってる?
「……あいつを地獄に送ってやる………」
「……はい?」
「だって 私の方が鈴香ちゃん好きだよ〜?絶対 佐伯くんになんか渡さないんだから!」
……私? 私の方?!
なんで! これ バグってるの?!
おかしいでしょ!!
12 学生って大変よね