12 学生って大変よね

……まいったな……。

連休も空け、日常が戻りつつある平日。私の場合 五月病と呼ばれるものにかかっている気がするが……

「ちゃんと佐伯くんが起こしに来てくれたでしょ? やっぱり、保険かけて正解だったわよね?」

「ねぇ。それなんだけど、彼にいつ鍵渡した?」

「昼休み中だけど?」

「乙女が寝てるはずの保健室の鍵を渡す先生がどこにいるのよ!何かあったらとか思わなかったの?!」

「普通なら渡さないわね。ま、あんたが襲う事はあっても、彼が襲うなんて有り得ないでしょ」

相変わらず入り浸ってる保健室。
短い時間の付き合いにもかかわらず 的確な分析をする彼女。なんだか 洋子に似てる。

「で? 襲ってないでしょうね?」

「あ?」

「……襲ったんだ……」

「してない!やってない!」

「あんた女の子なんだから やってないとか言うの 止めなさいね?」

「……ねぇ。普通の教師ならそんな事言わないわよ?それ以前に法に触れるでしょ。なんで平気なの?」

「……面白そうだもの。あんたが普通の女子高生ならけしかけないけど。ま、いつでもベット貸すから言いなさい?空き教室とか止めなさいね?」

「言わないし、やんないし、けしかけないの!」

あれでよく首にならないもんだ。
まぁ 私以外には『優しい保健の先生』って顔してるけど。

そんな高校と言う名の学校に相応しくない会話をした後の教室。あかりちゃんの天然発言攻撃を受ける。

「土曜日 鈴香ちゃん保健室で寝てて授業サボったでしょ?
佐伯くんもサボってたんだよ?
私 てっきり鈴香ちゃんと一緒にいたのかと思ってたよ〜」

「は?」

「だって 仲いいでしょ?佐伯くんも鈴香ちゃん好きだし。でも!私の方が大好きだけどね!」

キャッ言っちゃった!と顔を手で覆っている。なんか嫌な事を聞いた気がする。

「あ あのさ あかりちゃん。ちょっと前の台詞 もう1回言ってくれないかな?」

「佐伯くんより私の方が何倍も大好き!」

いや。それって台詞変わってるから。

「もうちょい前」

「佐伯くんと鈴香ちゃん一緒にいたのかな?」

「……あいつもサボってたの?」

「うん。って事は一緒じゃなかったんだ!よかった〜〜!もし一緒だったら……」

「一緒だったら……?」

ヤバイ。もしかしてあかりちゃんって、もう佐伯に好きフラグ立ってる?

「……あいつを地獄に送ってやる………」

「……はい?」

「だって 私の方が鈴香ちゃん好きだよ〜?絶対 佐伯くんになんか渡さないんだから!」

……私? 私の方?!
なんで! これ バグってるの?!
おかしいでしょ!!

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