10 学生って大変よね

記憶をさかのぼる。


……うん。たしかに先生は鍵してた。まだ 起きてたもん。今の時間は?………
結局 1時間サボったのか。

「今の……なんで!!」

……まだ言ってるのか。って言うか それしか言ってないじゃん。でも ちゃんとしたキスが私じゃ可哀相か。

「だから 寝ぼけてただけだって。でも ほんっとゴメン! 事故チューって事で記憶から抹消しちゃって!」

両手を合わせて謝る。
酔っ払って朝 目が覚めたら 隣に素っ裸の女の子が寝ていて、「先っちょだけしか入れてないから!」とか真っ青になって謝る男のようだ。

「あんなの無理に決まってるだろ!どこをどうやったら事故で出来るんだよ!」

「ちょっと無理がある濃厚さだけど……大丈夫! もしかしたら人生に一度くらいはあるかもしれないし。平気 平気」

「そんなのあるわけないだろ!」

ベットから下りると キャミソール姿。
そういや脱いでたっけ。

次の文句を言いかけた佐伯が、小さく悲鳴を上げ真っ赤な顔でカーテンの向こうに隠れた。
あんた 乙女か。
制服を着ながら、向こう側にいる佐伯に質問する。

「そういやさ。鍵かかってたよね?」

「昼休み 保健室の前通り掛かったら渡されたんだよ。次の授業サボったら起こしてくれって」

なるほど 念のための保険か。
まさか こうなるとは思わないよね。
なんたって 高校1年生だし。

「それでっ なんでそんな恰好なんだよ」

「シワになるでしょ。それに熟睡できないじゃん」

「学校で熟睡するなよ!」

「バカね。女の睡眠は重要なのよ?」

「意味わかんないし!!」

身なりを整え カーテンを少し叩く。

「もう服着たから 大丈夫」

少しだけ開けて私を確認すると、ホッとした顔で入ってきた。

「濃厚キスに女の下着姿。いい経験したね。お手本とまではいかないけど 参考になったでしょ」

「おっ おまえ…なんつーことを!」

「それくらいラッキーだったって思えばいいよ。襲われたんだから 気にする必要ないんじゃない?」

「おっ 襲われたって……!」

あれは 襲われたでしょ。どう考えても。
しかし これからは気をつけて寝ないとな。
寝ぼけたら 誰かれ構わずキスしそうだ。
欲求不満なのか 私って。

prev 10/25 next
しおりを挟む/しおり一覧

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -