15 はばたき市散策

欠伸を噛み殺し 教室に入る。
真ん中が空いていたからとりあえず座る。
どうせすぐに席替えがあるんだろうし。
しばらく眠気と闘っていると、隣に誰かの気配がした。

「あの……隣に座っていいですか?」

見上げれば ふんわりとした雰囲気の……

わ!デイジーちゃんだ。

「どうぞ? 空いてるよ?」

「どうもありがとうございます。
私外部組で知ってる人いないんです。だから緊張してしまって……」

「私もだから大丈夫。それと敬語なしね?同級生なんだから。えっと〜〜」

そういえば 名前知ってちゃおかしいか。

「うん。ありがとう。私 海野あかり あなたは?」

「城峰 鈴香。よろしくね」

「……よかった。思い切って声かけて。
優しそうな人だったから 大丈夫かな?って思ったの。よろしくね?鈴香ちゃん」

優しい?! 私が?!

驚く私をよそに ニコニコと笑っている。
……やっぱり 天然小悪魔って本当なんだ。

突っ込むべきか……悩んでいると、教室の前の扉が開いた。

あ。若王子先生だ。ホントにのんびりした感じの人なんだ。

一通りのコントを見た後 自己紹介シートなるものが 配布される。

……これって 事故チューのやつだよね。

って言うか私にも関係あるんだろうか……
だって そうだよね? もしそうなら、クラス全員が誰かとするし、相手があの人数なわけないもん。
最低でも 学年…いや学校の全員と確率があるはず。
それなのに あれだけの質問はおかしい!

……って事は あかりちゃんだけに有効な質問なんだな?きっと。

そうだよね〜〜 じゃなきゃ大騒ぎになってるはずだもん。
一人でノリツッコミを心の中で繰り広げ、あらためてプリントを読む。

質問1……どれも当てはまらないよ……
ここはとりあえずパラ重視かな。
進学校に芸術にアルバイト……っと。
これで 無属性のはず。私にも関係あるのか知らないけど。

……で ここだ。問題は。

優しいかクールかキザ。キザは却下だな。
頼れるかカッコイイか面白い。
クールで面白い……意味分かんないし。
優しくて面白い……お笑い芸人みたいなのかな。
優しくて頼れる……あー なんか諭されそう。

……って言うか これって9個だよね?
人数は……8人だよね?あと1個誰?!
いつも適当に選んだから覚えてないよ!

……クールでカッコイイ。これでいいや。

あかりちゃんだけ関係あるんだろうし、クールなんだから 間違っても屈折くんじゃないだろう。

考えるのが面倒になって あっさりと書いて前の人にプリントを渡した。

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