軽く二時間ほどお風呂を楽しんでバスルームを出ると、イライラと待つ光輝がいた。
「貴女 遅すぎます!いったい何時間入ってるつもりですか!」
「……女は長風呂なのよ?」
「あ・な・た・が長風呂なんです!」
「ハイハイ。そうでございますね」
まったく 奥さん気取りかって!バスタオルで頭をガシガシ拭きながらダイニングに入る。
テーブルの上には 美味しそうな料理が並んでいた。和食づくし。最近ご無沙汰。
「美味しそうじゃない。日本酒欲しいなぁー」
「ダメです。今は15なんですから。
貴女はオヤジですか!」
「いいじゃん。外で呑まなきゃ。って言うかさぁー つまんないから帰りたいよ。
ビール呑めないし、日本酒呑めないし、ワイン呑めないし、焼酎呑めないし、ウィスキー呑めないし、バーボン呑めないし………」
「ちょっと! お酒ばかりじゃないですか! それにまだ始まってもないのに!」
「だって〜〜」
「そこだけかわいこぶってもダメです」
「ちぇっ。もー ツマンナイ!」
乱暴に料理に箸をつける。
どれもこれも 微妙に酒の肴なんだよね。
あ。でも美味し。小料理屋とかやったら毎日呑みに行くのに。
「あのさー 美味しいんだけど、あんたホントにご飯作りに来ただけなの?」
「はい。あ!部屋の鍵返しますね。次回からは 呼ばれなきゃ出ませんから」
何?そのドラマの次回予告みたいなのは。そんなに呼んでほしいのか!
「じゃあ 私帰ります。また 何かあったら呼んでください」
ちょっと!作ったんなら片付けまでしなさいよ!片付けが一番面倒なんだからね!
それにこのテーブルいっぱいの料理を一人で食べろと?何日かかると思ってるの!
結局ほとんどの料理にラップをかけ 冷蔵庫に押し込む。二、三日は食べ続けなきゃ……
やっぱり あいつって使えない!!
12 はばたき市散策