04 はばたき市散策

慌てている彼を綺麗に無視。
こいつだけに関わっている時間はない。
だって、買い物する時間が少なくなるもの。
しかし あんたプリンスなんでしょーが。女に腕を組まれたくらいでうろたえないでよね。

「次の右足は一段上がる段差がありますからね」

「前から人が来ますから、少し左側に寄りますね」

所々で声をかけながら 商店街の中程にあるメガネ屋さんにたどり着く。
ここまでには 服屋さんはなかった……って事はこの先か。

「ここですね! 着きましたよ?」

「すみません。ありがとうございます」

「いえいえ。じゃあ 入りましょうか」

店の奥まで 連れて行き店員に説明する。
よし。私の役目は終わった。
隣にあるショーケースをちらりと見ると、お目当ての物が並んでいる。

やっぱりあった。ここは無難な色がいいよね。
つーか 店員!私を見つめるのは止めて下さい。
目立つのは判ってるんだから。

気付かないフリをしながら、ブラウンのコンタクトを注文。
ほくほくと代金を払い 商品を受け取った。

よし。次は服屋さんだ。
もうちょっと先まで行ってみよう。

「あの!ちょっと待ってください!」

店から出ようとすると、店内から声がした。
振り返ると 佐伯瑛が立ち上がっていた。

………すっかり忘れてたよ。
そういえば 居たんだっけ。

「はい?」

「お礼させてください!」

お礼?じょーだんじゃない。
私は忙しいの!今から何軒も回らなきゃならないんだから!
まぁ 君はそんな事知らないだろうけどね。

「いいですよ!困った時はお互い様です!
それじゃ さよなら!」

にこりと笑い ヒラヒラと手を振り彼を置き去り。
見えちゃいないだろうけど。

もう君に用はない。
面白いものを見せてくれてありがとう。

さぁ 次は古着屋だ!
すぐに見つかればいいんだけどな。

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