03 はばたき市散策

本当に面白いから、しばらく見物。
低い段差に引っ掛かったり、街灯に蹴つまずいたり。
よっぽど見えてないんだろうなぁ……
笑っちゃダメだけど 大爆笑しそう。

(あー、面白かった)

かなり堪能したけど、さすがに飽きたので近付いて声をかけてみる。

「どうかなさったんですか?」

「えっ?」

「何かお困りのようでしたから」

見当はついてるけど、彼にとって私は初対面なわけだしね。

「コンタクト……」

「コンタクト?」

「片方コンタクト落としちゃって、探してたら自分で踏んで……」

「割れちゃったんですか?」

「ええ。それでメガネ屋に行こうと思ったんだけど、僕 近視なうえに乱視も酷くて……」

なるほど。出歩きイベントのコンタクトを一人でやってたわけだ。
バカだ。こいつ。

「あー それで」

「えっ?」

「かなり変な歩き方でしたから」

「そんなに?」

「ええ かなり。……あ!そうだ!」

これって私にとってもかなりチャンスじゃない?
メガネ屋って本には載ってなかったし、この人がコンタクト作りに行くのなら あれもあるはずだよね?
探す手間が省けるんなら ラッキーだよ。

「あの?」

「よかったお連れしましょうか?」

「でも………」

「このままだと日が暮れちゃいますよ?
と言っても、私も場所がわからないから歩く補助くらいしか出来ませんけど」

「じゃあ お願いしていいですか?」

「ええ。落としたのはどっちの目ですか?」

「左」

じゃあと左側に立ち腕を絡める。

「えっ? あ あのっ?」

「ごめんなさい。この方が安全だと思うから。じゃあ 行きましょうか」

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