貴方のその笑顔が

代わり映えのない毎日。

朝学校に来て、勉強して、友達とお喋りして、寄り道にお茶したり買い物したり。
バイトがある日は、瑛くんとお喋りしながら珊瑚礁まで歩いて……。

繰り返されるのは、毎日同じ事ばかり。

それでも、この世界は好きなもので溢れてる。

毎日がキラキラと輝いて……、きっと今日の海みたいな感じ。瑛くんと歩く、珊瑚礁までの道程。
風もなく、凪いだ海面を見つめる瑛くんの横顔は、なんだか嬉しそうで。そんな彼を見て、私も嬉しくなる。

「まずは珊瑚礁ブレンドに瑛くんの特製サンド。それからアナスタシアのケーキセット。あ!駅前の限定ケーキも捨て難いかなぁ?」
「いきなりなんだよ?」
「んふふ〜。それから空中庭園のパフェ!それに、超熟カレーパン!」
「なんだ?腹でも減ってるのか?」
「ブブー。残念でした。」

瑛くんの『お前は若王子か!』というツッコミを聞きながら、指折り数える。

仲良しの友達、家族。学校。
休みの日に、二人で出かけるいろいろな場所。青やオレンジ、いろんな表情を見せる目の前の海。

そして、こうやって並んで歩く帰り道。

それよりも、何よりも一番なのは……。

あまのじゃくで捻くれてて、どんな事にも一生懸命で、そして優しくて。

―――だけど、ちょっと不器用な……。

「瑛くん!」
「なんだよ?急に。」
「私が大好きなもの。」
「……なんだ、それ?」

一瞬固まった瑛くんが、呆れたように『俺は一番最後かよ。それ以前に物じゃないだろ。』なんて。
でも、ちょっと嬉しそうに真っ赤な顔でそっぽを向く。
そんな顔も、もちろん好きだけど。

でも、やっぱり一番大好きなのは、私を呼ぶ時の貴方の笑顔。


貴方のその笑顔が
2008/11/09

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