13.

「ま。ほとぼりが冷めるまでここにいたらいいって。」

「そうなのか―――なッ?!」

私の真横に顔を寄せ話してたはずの瑛くんの唇が耳朶に触れ甘く噛む。
柔らかな唇と耳の中に届く熱い息にびくりと肩を竦めた。

―――こんな時にこんな所で。

からかうつもりなんだろうけれど、いくらなんでも悪戯がすぎる。瑛くんの唇から逃れようと竦ませた肩を上げて身を捩った。

「――ん、ッ!ちょ…瑛くんダメだっ――。」

「しーっ。静かに。布団の向こう側、誰かいるかも、だろ?」

「――――!!」

まだ追いかけてくる唇から逃れようとしていると不意に動くお腹に回された腕。体操服の上から胸の膨らみを撫で回す。
さすがに冗談には出来ないと抵抗しようと囁く程の小さな声を上げると、低い囁きでぽつりと返す。揉むように撫で付ける手はそのままに。

そう。この押し入れに飛び込んだ時に開いていたのは襖半分の半分ほど。隣には布団があるけれどあちら側にもあるとは言い切れない。どうやら3つに分けてここの布団は収納されているようだし、上段が空いていたのかなど見る余裕なんて私にはなかった。

―――どうしよう――。

拒絶の声を上げてしまえばたちまち先生に見つかるのは目に見えてるし、瑛くんの立場が絶望的になる。今まで頑張ってきたのだから、それを私が壊すわけにはいかない。

「――ん、ッ。…や、…んっ。」

この手を何とか止めないと。
自分の手を瑛くんの手に重ね押さえつけると意識が疎かになる耳の裏を舌先で舐められ、手の力が抜ける。それを待っていたかのようにすかさず指先が胸の中心を押さえ捏ねる。予期していなかった甘やかな刺激に唇を噛んで首を振った。

「声……出すなよ?」

まっ暗闇だからか、非常時な場所だからか、誰かに聞かれているかもしれないからか。興奮したようなそれでいて楽しそうな瑛くんの囁き。

「―――ぁ、は…んッ。」

何をしようとするのか。
問い掛けるよりも素早く胸の上の手が服の裾から、体操ズボンの腰からもう片手がすると潜り込む。腕で胸を隠すよりも早く素肌を包み込み、私の両足が閉じるよりも早く下着の上から丘を撫でる。
思わず漏れる声に慌てて両手で口を塞ぎ、ぐっと押さえて声を押し殺した。

それに気を良くしたのか続ける事を私が了承したと思ったのか。

さっきよりも大胆に私の素肌を掌に包みこみ大きく回す。時々尖端を弾くように撫でる指。いちど、にど、さんど。確かめるように、遊ぶように。何度もそこだけを。その度に私の身体がびくりと跳ねる。

「修学旅行は遊びではない。学業のひとつなのだから―――。」

瑛くんの指先に神経が集中し何も考えられなくなるのを堪えるために、聞こえてくる教頭先生の言葉に耳を傾けた。部屋の明かりはまだ点いていない。瑛くんの言うとおり、捕まった生徒に説教をしたふりをして、隠れている生徒全員に聞かせようとしているようだった。

「――ぁ!…ゃ、ぁッ…。」

そんな私に気づいたのか撫でていた丘の上の指先が閉じた両足の間に捩じ込むように潜り込む。
くの字に曲がった長い指が下着の上から最も敏感な場所を押さえ小刻みに動き指の先でぐりぐりと押される。びくりと跳ねた身体の反動で押さえた手が離れ漏れる声がこの場にふさわしくない程甘やかなもので、それ以上零れないように飲み込みながら両手で塞いだ。



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