そう、少しだけなら。
男の子の部屋がどうなってるからはよく分からないけれど、女の子達はきっとここまでは来ないはず。
あれだけどの部屋からも笑い声が聞こえてたんだし、自由時間の今なら、違う部屋とか男の子の部屋とか…実際、同部屋の子も出かけていったもの。
ちょっとくらいだったら大丈夫…だよね?
柔らかな瑛くんの唇と、やっぱり微かに感じるコーヒーの香り、そして抱きしめられる温もりの心地よさに、身体から力が抜けそっと瞳を閉じる。
瞼の裏側には天井からの明かりを感じるけれど、指先で触れられた顎と重なる唇の感触は目を閉じた方が感覚に敏感になる気がした。
「……んっ……。」
押し当てられた唇から伸ばされた瑛くんの舌先が閉じた唇を押し開くように隙間をなぞる。
ぬるとした舌先が擽ったく、小さく声を上げるとそれが合図とばかり唇をまた押し付け、滑り込むように瑛くんが中へと入り込んだ。
「…んっ…ふ…。」
だんだんと深まっていく口付け。
顎に触れていた指先が耳の輪郭をなぞり、耳朶をこねるようにもて遊ぶ。絡まる舌が時折ぴちゃと水音を奏でる。
分散する意識がその行為に集中していき、ここが何処なのか忘れそうになってしまう。
「……んッ…!!」
突然胸元に走るぞくとした感触に、閉じていた瞳を思わず見開く。
重ねられ絡まる舌を解放してはくれない瑛くんの瞳は、ぼやけてはいるけれど楽しそうだ。
体操服の上から何度も擦る指先に、だんだんと反応していく自分の先端が起き上がっていくのが分かり、瑛くんにもそれを知られているのが恥ずかしく、片手で押さえ込み、もう片腕で自分の胸を隠す。
押さえ付けられ動きを止める瑛くんの指先にホッと肩で息をしたのも束の間、根元まで伸びた舌が裏筋を伝い、またぞくぞくと背筋が粟立つ。
「……ッは…。」
すべての意識がそこにいき弱まる私の腕を見越していたように、もぞりと動く瑛くんの掌が膨らみを包み、揉み上げながら見なくても分かるくらいに主張している先端を擦る。
押さえ付けた事で、反対に瑛くんをその気にさせてしまった事にようやく気付き、慌てて絡まる舌から逃れ身体ごと引くように唇を離した。
11.