4.いい加減くっつけ

さて、どうすっか。

おもしれーからこのまま見物しててもいいんだけど、優等生だのプリンスだの、アイツが何かのために必死に被ってる仮面を引き剥がさせるのもなとゆっくり気付かれないように立ち上がる。

「……そんな事くらい…教えてあげてもいいけど。ただ、秘密にしてくれないと…無理、かな?」

そっと配管の陰から出ようとすると、佐伯のやけに自信たっぷりな挑発的宣言。
ヤツらの何がスイッチになったのかふんぞり返った背中に、あのバカがと手の平で顔を覆った。

ここでそんな反応なんかしたらヤツらの思うツボ。どこまでも食らいついてくるに決まってんだろーが。

ひねくれているわりに単純で真っ直ぐなアイツの事だから、後先考えてるわけねーかと、想像通りに追い詰められた佐伯の背中に近づき、首に腕を回した。

相当緊張しているのか体温の下がったひやりとした首筋。
ぎょっと目を丸くさせオレに顔を向ける佐伯。
この場所にオレがいる事をすっかり忘れていたのか、『どうして』とでも言いたげだ。

勉強は出来るくせに、こいうトコはバカ丸出しだなと、ちょっとヨユウの態度で、コイツに群がっているそれ以上にバカなハイエナ共をあしらって、息苦しい熱気が漂う場所を後にし有無を言わさず連れ込んだのは、屋上よりはひやりとした空気が心地いい音楽室。

結局、あかりを放り出したまま、うなだれた佐伯が座る席の机の上で胡坐を掻き見下ろす。

やっとテメェの言葉の重大さに気付いたのか、がりがりと頭を掻き喚き散らす佐伯は、あのまま放っておかなくても十分面白い。

「で?マジでどうすんだ?取り巻きがイヤならあかりか?」
「はあっ!?なんであかりが出てくるんだ―――って!あかり!屋上に置き去りだぞ!」
「だろうなー。ダレかさんがオンナだけじゃなく、ヤロウにも捕まってるからじゃねぇの?モテるオトコはツライねぇ」
「バッ…、それとこれとは違うだろ!俺、あかりを連れてくる!」

慌てて立ち上がり音楽室を出ていく佐伯―――の背中を見送った時にも、マジに鈍いと思ったんだが、今のコレも…感心を通り越して呆れるよな…。

「無理っ!ぜぇーったいに無理無理無理無理」
「お前な。ほんっとーに、否定しすぎ。そこまでされると傷つくだろ!」
「だって!無理なものは無理だもん!瑛くんの親衛隊さん達に……やっぱり無理!」

つい漏らしたほとんど本気の冗談を真に受けるバカが二人。
似た者同士っつーかなんつーか。オレからすりゃあ、似合いの――なんて、ありきたりな言葉が頭に浮かぶんだが、負けるとも劣らないニブちん二人は頑なにお互いを否定してるときてる。

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