毎日毎日よく飽きもせず……。

「はぁ〜〜〜。」

目の前で繰り広げられる、当人達にとっては深刻な、しかし周囲の……いや、オレにとってはどうでもいい事。
あまりにもバカバカしい事なのに、この二人はちっとも気がつきやしない。

「ちょっと!ハリー!よそ見してないで聞いてよ!絶対私が悪いんじゃないよね!?」

「いーや。お前が悪い。男だったら俺の味方だよな?針谷。」
「男だったらって!やましいからそう言うんでしょ!?」

昼休みの音楽室。
ふと舞い降りたメロディーを形にしようと、この二人から見えないように隠れてコソコソとギターを鳴らしていたのに、微かに聞こえた音で沸いて出た二人。

「それで、今回は何揉めてんだ?オマエら。」

本当にどうでもいい事なんだが、一応聞いてやらないといつまでたっても平行線。
すなわち、オレの頭に浮かんだメロディーが形に出来ない。それどころか、霧が晴れるように消え去っちまう。
そんな二人がよくぞ聞いてくれましたとばかりにオレに向かって詰め寄り同時に口が開く。

「瑛くんがエロ本持ってたんだよ!」
「あかりがエロ本捨てやがったんだ!」

オレに言い放った後も、『他の女の子ばかり見て!』だの、『アレは男のロマンだ!』だの、端から聞けばくだらない事を言い合っている。

よくも毎回こんなどうでもいい事で喧嘩できるよな?
つーかさ、見せ付けられる独り者のオレの身にもなってみろっつーの。

延々と続くバカップルの会話にふとした言葉が頭を過ぎる。

…………アレだな。

『痴話喧嘩は誰も食わない』

いや、違ったな。なんだっけ?
まぁ、どうでもいいんだけど。

「はぁ〜〜〜。」

頭上で繰り広げられる、他人が聞いたら唖然とする程バカバカしい会話を、聞こえないフリして窓の外を眺める。

今日も作れなさそうだ。

いつになったら新曲が出来上がるんだろうか……。
痴話喧嘩は誰も食わない 瑛×主+針
11.05/03

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