目の前に居る、彼の言葉が聞こえないくらいの北風と波音。
もしかしたら、私の聞き間違いなんじゃないか。そう思ったけど、それは私がそう思いたかったから。
出来る訳がない。あなたを忘れるなんて。
なかった事になんて出来ない。あなたと過ごした時間を。
私の周りは、あなたとの想い出に溢れていて、少しも時間が進まない。
この気持ちがいったいなんなのか、まだよく分からないけれど……。
―――悲しくて、悲しくて。
ただ、あなたに会いたくて、会いたくて。
あなたが言った『若者と人魚』の意味を知りたくて……。
今日も、あなたからさよならを告げられた海にいる。
―――もしかしたら。
ありもしない、そんな淡い期待を胸に抱きながら。
悲しくて悲しくて 主×瑛
11.05/03
11.05/03
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