episode12
――その頃の追跡隊は…
「だいたいねぇ!女の子に年の話をするのは失礼だって分からないの!?」
まだお母様に怒られていました。
ちなみに地面の上で正座です。
「(悠、何とかしろ。さすがに足が痛い)」
「(お父様じゃないとこの状態のお母様は抑えられません」
「(…わかりました)」
殿方たちはお母様に悟られないよう、純血種の力を駆使したひそひそ声で会話します。
傍目にはまったく唇を動かしているようには見えません。
「樹里…」
意を決してお父様が立ち上がりました。
「樹里、君はいくつになっても変わらない。美しいままだ。まさに永遠の少女だよ」
「悠……」
「でもね樹里、一つだけ変わった事がある。年月を経るごとに、僕と君の愛は深まり続ける。そうだろう?」
「ええ、そうね」
「今までもこれからも、君と共に歩む事が出来て僕はなんて幸せな男なんだろうね」
「悠…っ」
「愛してるよ樹里」
「私もよ、悠」
どこからともなく花火が上がり、世界は急に輝きました。(二人の周りだけ)
「(いつもは忌々しいことこの上ないが、今回ばかりは助かったな)」
「(そうですね、伯父様。さあ早く珠姫と優姫の追跡に戻りましょう)」
「(ああ…、って、ぐあ…!)」
おじたまは長時間の正座で足がしびれて立てないようです。
しかしそんなことは気にも留めず、お兄様は妹たちの姿を探します。
しかし辺りには誰もいなければ、気配すらありません。
思わず時計を確認すれば、なんと一時間もお母様に怒られていたのでした。
「お父様!お母様!大変です!珠姫たちがいません!」
―6/11―
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