episode12
「おばあちゃん、綺麗な子たちだったね…」
「そうねぇ。でもこんな時間におつかいなんてねぇ」
「私、あんな子みたことないよ」
「さあ佳代、いつまでもぼぅっとしてないで。ほら、スープが冷めますよ」
そんな声が閉めた扉の向こうから聞こえてきます。
しまった…
私の美貌が並はずれている事をすっかり忘れてた!
あの子、ずっと私を見てたよねー。
穴が開くくらい見つめられちゃってたよねー。
どうしよう…、人間の、それも女の子を虜にしちゃったりして!キャッ
「はぁ…、美しさって罪よねぇ」
「ん?珠姫、何か言った?」
「ううん何でもないよ、独り言☆」
「…ふーん」
「ほら、おつかいも終わった事だし、帰ろっ」
「うんっ」
そう言ってゆっきーと手を繋ぎ来た道を戻ります。
ふぅ、それにしても長かったこと。
ただのおつかいなのに長編RPGをやり終えた気分だよ。
村人たちから情報を集めながら三つのアイテムをゲットだぜ!みたいな。
さぁ!パンも小麦粉も卵も揃った!
お家に帰ったらパウンドケーキとサンドウィッチでお茶の時間よ!
―4/11―
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