episode11
「(枢、回収御苦労)」
「(伯父様のコントロールもなかなかでしたよ)
「(なぜ…ごふっ、あなたたちが…手を組んで…)」
「(お前が正体をバラしそうとするからだろう)」
「(危ない所でしたね)」
「(確かに優姫の可愛さに目がくらんだ事で自白しかけた事は反省します。しかしなぜ竹槍なんですか…!)」
「(おっ、元気じゃないか。さっきまで吐血してたくせに)」
「(すみません、お父様。僕も竹槍はどうかと思ったんですが)」
「(枢、そう思ったのなら言って欲しかったな。お兄様、かなりの破壊力でしたよ。純血種じゃなかったら危ないところでした。……って、あれ?樹里は?)」
殿方たちが辺りを見ると、いつのまにやら花売り娘は迷子の双子に話しかけていました。
「こんばんは、可愛い迷子ちゃんたち。私は花売りの少女よ。鶏を飼っている農家はすぐ手前の右のお家よ」
「「ありがとう花売りのお姉さん!」」
「(……)」
「(……)」
「(……)」
「(お母様、いつのまに…)」
「(何故樹里はバレないんでしょう…)」
「(自分で「少女」なんて言っているからじゃないか?よもや自分たちの母親が「少女」になるとは思わんだろう)」
「「((あ、なるほ…))」」
「何か言ったかしら?」
「「「(……じゅ、樹里…)」」」
「私は永遠の十八歳よ!どこからどう見たって"少女"でしょう!?」
「(もちろんだよ樹里)」
「(ああ、お前はいつだって美しい)」
「(お母様、わかりましたからもう少し声を落として)」
「人間の高校に通ってた頃のプロポーションと全然変わってないんだからぁ!!」
なにやら後ろの茂みでざわざわ聞こえますが(まあ予想は着くけど☆)
そんなことは気にせずに、私と優姫はお母さ…じゃなかった花売り娘さんから教えてもらった農家へと歩きました。
「ねえ珠姫、さっきのお姉さん何歳くらいかなあ?」
「優姫、女性の年齢は詮索しないの」
乙女の年齢に触れてはいけません。
いつまでも花も恥じらうお年頃なのです。
【つづく】
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