とある乙女の華麗なる日常 | ナノ
episode11


すると今度は、赤いドレスをひらりとさせながら綺麗な女の子が現れました
って、お兄様ぁぁああああ!!!


「こんばんは。あら、迷子なの?」


あら!
あら!ってお兄様が言った!
なの?って!なの?って!!
お兄様がそんなに役に入り込むタイプだったなんて!
演技派なんですね!意外!
そして恐ろしいくらい似合ってます!
どうしよう今度からお姉様って呼んでいいですか!!??

〜いきなり脳内妄想劇場〜
「お姉様っ」
「まあ珠姫、いきなり抱きついてきたら危ないわ」
「だってお姉様っていい香りなんだもの」
「ふふ、そう?」
「なにをなさっているの?」
「ハンカチに刺繍をしているの」
「わぁ素敵!どなたかにあげるの?…まさか、恋人?」
「くすくす、この子ってば何を言うのかしら。そんな方いないわ」
「嘘よ!私、知ってるんだからね!お姉様と結婚したいって方がたくさんいらっしゃるの!」
「いやよ、殿方なんて。私はどこにも行かないわ」
「お姉様…」
「はい、出来たわ。貴女のよ」
「え…、私に?」
「もちろんよ、私の可愛い妹。貴女より大切な者なんていないもの」
〜END〜

…これはありかもしれない!!
姉と妹の清らかな愛!
乙女の秘密の百合の園!
殿方のいない素敵な世界で詩を読み、ピアノを奏で、手を繋いで花の中を駆け回る!
これぞ青春の日々!!


「ねえ珠姫。このお姉さん、お兄様に似てるね」


そんな私の脳内百合園は、優姫の言葉に掻き消されました。

ゆゆゆゆっきー!!
よくも私のめくるめく百合園を踏みにじったわね!
そんなこと私も分かってるわよ!
分かってるっていうかお兄様本人だって知ってるわよ!
でも普段なら絶対にありえないお兄様の女装よ!?
殿方のいない世界が素敵だなんて本当はこれっぽっちも思わないけど!
むしろ殿方だらけの世界なんて想像しただけでよだれが出そうだけど!
でもめったにないこのシチュエーションを普段とはちょっと違った思考で楽しむのもいいじゃない!
というか私は、枢様ならばそれがお兄様だろうがお姉様だろうが伯父様だろうがお父様だろうが始祖様だろうが構わないんだけどね!
って、あっー!
お兄様がっ!お兄様が優姫にばれたと思って逃げて行く!!
待ってお兄様!せめて写真をっ!!


「(枢、そんなに落ち込まないで。とても上手だったわ)」

「(……)」

「(ふっ、お前の女言葉が聞ける日が来ようとはな)」

「(……伯父様の「Hey☆」よりましです)」

「(なんだと…!?)」

「(まあまあお兄様、事実ですから)」

「(悠!?貴様まで!!)」

「(さて、じゃあ次は僕の出番かな)」

「(おい無視するなっ!)」


―5/8―

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