とある乙女の華麗なる日常 | ナノ
episode11


「(悠、あの子たちったら迷ってるわ。鶏肉専門店があの粉屋のすぐ近くにあったのに)」

「(郊外まで来てしまったからには仕方ないよ樹里。一番手前にある右の家だってなんとかして教えてあげたいね)」

「(それならお父様、僕が行きます)」

「(何を言う枢、ここは僕の出番だろう!)」

「「「(((あっ、バカ!)))」」」


どうしようかと悩んでいると、目の前に颯爽と背の高い人が現れました。
肩まであるさらさらストレートの髪にサングラス、赤いシャツに黒のスーツを着ています。
その格好、どこからどう見ても堅気じゃない。
いや、おじたまだって分かってるけど。


「Hey☆お嬢ちゃんたち、迷子かーい?」


ぶっ…!!
ちょ…、ごめん、堪え切れずに吹き出した!
「Hey☆」って!「迷子かーい?」って!それなんのキャラ!?
おじたまの方こそキャラが迷子よ!
と、心の中で盛大に突っ込みを入れつつもう一度見ようと顔を上げると、そこには誰もいませんでした。


「(ちょっと李土!何やってるの!?あの子たちに気付かれたらどうするのよ!?)」

「(僕はただ姪っこ達に道を教えてやろうと…!)」

「(やめてください、今の伯父様の格好は明らかに変人ですから。あ、すみません、そんな格好をしていない時も変人ですが)」

「(なんだと枢…!?)」

「(…お兄様が「Hey☆」なんて言うのを初めて聞きましたよ)」

「(笑いを堪えながら言うな、悠ぁ!!)」

「(伯父様には任せておけません、僕が行ってきます)」


あー、おじたまもう一回来てくれないかなぁ
そしたらムービー撮るのに!
もちろん永久保存版!
いくら落ち込んだ時でもあれを見たら絶対笑える自信がある!


「ねえ珠姫、今の人だれ?」

「んー、誰だろうねぇ」

「髪の毛さらっさらだったよね!」

「さらっさらだったねぇ」


おじたま、さらさらにして良かったね!
ゆっきーには全く気付かれてないよ!
やっぱりおじたまといえばくるくる、くるくるといえばおじたまだからね!
くるくるじゃなかったらおじたまだって認識されないんだよきっと!


―4/8―

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