とある乙女の華麗なる日常 | ナノ
episode11


「お嬢ちゃん達、もうおつかいはおしまいかい?」

二袋の小麦粉をリュックに詰めてお店を出ようと、するとおじさんが言いました。
きっと私たちが初めてのおつかいだと察して気を遣ってくれてるのね!

えーっと、バゲットの代わりに食パンをゲットしてー
ここで小麦粉を買ってー
あとはー…そうだ卵!卵買わなきゃ!


「あと、卵を買いに行くんです」


そうだった忘れてたー
おじさんサンキュー☆


「卵かい?この時間だからなぁ、もう店には置いてないかもなぁ」

「どうしよう…」

「えー」

「お嬢ちゃん達の足じゃあちょいと遠いかもしれないが、町はずれに鶏を飼ってる小さな農家があるから、そこに行けば分けてもらえるかもしれん」

「どっちに行けばいいですか?」

「この道を真っ直ぐ行けばわかるはずだ。郊外に出たらすぐ柵が見えっから」

「「ありがとうございます!」」


見た目よりずっと親切な粉屋のおじさんにお礼を言って、教えてもらった道をテクテク歩きます。
おじさんの言った通り、煉瓦道をまっすぐ行けば舗装されない道に出ました。
柵、柵、柵はどこかなー。
って、周りは柵だらけなんですけど!?


「ねえゆっきー」

「なあに?」

「おじさんが言ってた柵ってどれだと思う?」

「……柵ばっかりだね」


右を向いても柵ばかり。
左を向いても柵ばかり。
民家らしい明かりが遠くにぽつぽつ見えますが、ぽつぽつぽつと三件ほどあるのでどれがおじさんの言ってた「鶏を飼っている農家」なのかまったく分かりません。

前言撤回☆
あのおじさん、心は親切だけど説明は不親切!


「どうする?一軒一軒尋ねてみる?」

「うーん、どうしよっか」


―3/8―

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