とある乙女の華麗なる日常 | ナノ
episode10


「そうだ!おじたまがね、お金に困ったらこれを出しなさいって言ったの!はい!」


ああ、おじたまがお札も持たせてくれたのかな。
なんて思った私が間違いでした。

優姫が小さなバッグから出したのは―――ブラックカード!(限度額なし、ジェット機だって買えちゃうよ☆)

おじたまぁぁああああ!
七歳児になんてもの持たせてるの!!?


「ゆゆゆ優姫!ちょっとお財布かして!」


私はそう言ってガマ口財布をひったくった!
ついでにブラックカードも優姫の手から奪い去った!
きっとおばさんの目には映ってないはず!


「はい!250円です!」

「あらお姉ちゃん、ありがとう」


良かった!
ブラックカード見えてないよね!?
見えてないよね!?

ほっと胸をなでおろしている隣で優姫が言いました。


「あっ、粉屋さんはどこにありますかー?」


そうだった!
粉屋さんの場所を尋ねなきゃいけないんだった!
グッジョブゆっきー!


「粉屋さんはうちを出て右に真っ直ぐ行くと左手に見えるわよ」

「ありがとうー!」
「ありがとうございます」

「そうだわ、せっかくだからこの籠も持ってお行きなさいよ」


そう言っておばさんはさっきのかごを渡してくれました。


「ほら、この中に食パンを入れて…、ああ、それからあんパンもあげるわ」

「え…、いいんですか?」

「いいのよー、籠はもう使わないものだし。あんパンは今日は早めに店じまいするからどうせ余っちゃうし」

「「ありがとうございます」」


ペコリと頭を下げて、貰ったバスケットを腕に持ち私と優姫は来た道を戻りました。
おばさんはお店の前に出てずっと手を振っててくれました。

【つづく】
next→あとがき
おまけ
episode117歳:初めてのおつかい編(中)
―8/10―

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