とある乙女の華麗なる日常 | ナノ
episode1


ひとまずっ
ひとまずこの状況を整理してみましょう。
えぇそうしましょう。


私はホームから飛び降りて

そしたら目の前に電車が来て

視界が真っ暗になって

次に気づいたら目の前に天使さんがいて

私は生後間もない赤ちゃんで

リビングには麗しき男性陣が勢ぞろい


つまり私はあの時に死んで、今生まれ変わってるってことでいいのかしら。

それも
私が命をかけて愛してやまない(というかその愛ゆえに命を落したんだけど)
ヴァンパイア騎士の世界に

それも
玖蘭家に


うぎゃーーーーー!!!!!


「ふぎゃーーー」

「あら、どうしたの珠姫?ねぇ悠、この子どうしたのかしら、いきなり泣き出して」


樹里様、違うのですよ。
事実を再確認して嬉しさのあまり奇声を発してしまっただけなんです。


「ミルクかな、オムツかな。僕が抱っこしよう」


キャーーー!!悠様!!?
悠様のお顔が目の前に……!!
う、美しい…


「ふぎゃーーー!!」

「やだ、どうしたの、珠姫」

「悠が抱こうとしたからだろう。珠姫は僕に抱かれたいんだよ」

「僕のせいではありませんよ、お兄様。…それに、その言い方、やめてください」


ぎゃーーーーー!!!!!
りりりりり李土様まで!!?
なぜあなたがここにいるのです!????
あぁでもそんな些末な事どうでもいいっ!!


「ふぎゃぁああぁあぁぁぁ」


赤ちゃんってどうしても泣き声になってしまうのね。
私は喜びに打ち震えているだけなのに。


「…お父様も伯父様も、さっきあれだけ優姫を抱いていたのだからもういいでしょう。
珠姫は僕が抱く番です」


私の体は樹里お母様の腕からふわりと離れ
綺麗な少年の腕の中に収まりました。

っ…
か……
かなめさま……っっ!!!!!

…………心臓が止まりました。


「あら、泣きやんだわ」

「ほら、お父様、伯父様、珠姫は僕が好きなんですよ」


えぇ、好きですとも
大好きですとも
愛してますとも
そのために私は前世で死んだんですから。
こんな素敵な転生が待っているのなら、スプラッタな死も悪くはない。


樹里様がお母様で

悠様がお父様で

李土様が伯父様で

枢様がお兄様で

そこに寝ている赤ちゃんがたぶんゆっきーで
たぶん私たちは双子で

つまり私は純血のヴァンパイア。


ぎゃーーーーーーす!!
転生トリップよ、ありがとう!ありがとう!!!


「ふんぎゃーー」

「ほら見ろ枢、珠姫はお前が好きじゃないそうだ」

「うるさいですよ、伯父様」


こうして私、玖蘭珠姫は誕生しました。


next→あとがき
episode2 生後8ヶ月:おしゃべり編
―4/5―

|
[back]

×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -