episode1
「−−−」
ん?
「−−き−−たまき−−」
んん?
女の人の声?
だれ?
てか私、意識ある!!???
ということは……
て ん ご く ! ?
「たまき、珠姫」
うっすらと目をあけると、紅い瞳をした美しい天使さんがいました。
「よかった、起きたのね おはよう、珠姫」
そう言ってその天使さんは私を軽々と抱き上げました。
天使って案外力あるのね。
私、お世辞でも軽い方じゃないんだけど。
その前にこの天使さん大きくない?
ていうか私、小さくない?
だって抱き方が横抱きなのに、こう、すっぽりと包まれてるというか…。
ちらりと見えた紅葉の手は、感触から推測するに、どうも自分のみたいだし。
まさか、私……赤ちゃんになってるの!?
そしてなーんかこの天使さんの、独特の癖のある黒髪とダークレッドの瞳は見覚えがありすぎるのですが…
ははっ、まさかねえ…
そーんな夢のような話
「優姫はさっき寝てしまったのよ。お父様と伯父様が離さないの。枢お兄様が不貞腐れてるから、貴女も向こうに行きましょう」
いま、なんとおっしゃいました?
ゆうき?
優姫?
かなめおにいさま?
枢お兄様?
枢!?
え!?
は!?
えぇ!!?
思考がフリーズしている私を抱いたまま、天使さん(もし私の願望ゆえの妄想でないならこの方は…)は、長い廊下を進んで行き、リビングと思われる部屋に入っていきます。
そこにいたのは
全員、黒髪に紅い瞳の(一人は赤と青のオッドアイだけれど)
「悠、枢、李土、珠姫も連れてきたわよ」
まぎれもない玖蘭家の方々でした。
きた…
きた…
トリップキタ―――――――――――――!!!!!!!!!!
―3/5―