episode9
我が玖蘭家の日課である(午前)三時のお茶の時間。
テーブルの上にはいつもお母様お手製のお菓子が並びます。
その中でもブラックチェリータルトは皆の大好物!
特にゆっきーとおじたまは最後の一切れをめぐっていつも真剣勝負です。
結局二人で仲良く半分こにするんだけどねー。
そんないつものティータイム、
タルトを半分食べた頃、お父様が言いました。
「珠姫、優姫、明日から君たちの家庭教師が来るよ」
実は、今まで教師について勉強をしたことがない私たち。
私は別に良かったけどね、前世の知識があるからたいていのことは分かるし。
でも一歳になる前から本を読んでたりしたら、いくら純血種とはいえ超天才児なんて噂になると思って今まで絵本しか読んで来なかったけど。
あ、ちなみにゆっきーもひらがなの読み書きは出来ますよ。
そんなお父様の言葉に真っ先に反論したのはおじたまでした。
「悠っ!家庭教師なんてまだ早すぎるぞ!遊びたい盛りに無理やり勉強させるなんて!」
「そんなことはありませんよお兄様。僕は父親として、最低限の知識は付けさせてやりたいんです」
「それなら僕が家庭教師になろう!」
「ダメですよ。お兄様に任せたら遊んでばかりになるでしょう」
「そんな…、そんな家庭教師なんぞを呼んだら…、僕と遊ぶ時間が減るじゃないかぁああ!!」
おじたまは泣きながらテーブルをダンッと叩きました。
結局自分のためなのね…。
「樹里っ!お前の意見はどうなんだ!」
「もちろん賛成よ。私が反対したら悠はこうして言ってないでしょう?」
お母様はにこりと笑います。
おじたま、当たり前じゃん。
玖蘭家の最高権力者はお母様なんだから。
「それなら悠!珠姫と優姫の前に、まずは枢に家庭教師を付けるべきだろう!」
「枢に教師はいらないでしょう。誰が何を教えられるっていうんですか」
そうだよねー、お兄様は始祖様だもんねー。
知らないことなんてないんじゃないかな?
「あるだろう色々と!友達の作り方とか!」
「伯父様、教師を付けて僕の時間を削ろうとしているのは見え見えですよ。それに何ですか、友達の作り方って…。一人も友達のいない伯父様に言われたくありません」
「くそっ、バレたか…。しかし最後の一言は聞き捨てならんな!僕にだって…僕にだって…っ」
ああ、おじたま涙目…。
友達いないんだね。
―3/9―