とある乙女の華麗なる日常 | ナノ
episode9


「珠姫、酷いね。僕以外の男とデートするなんて」


お兄様はくすっと笑いながら言いました。
ああっ!その茶目っ気のある笑顔もまた眩しいです!
もうっ!お人形にまで嫉妬するなんて!お兄様ったらっ!


「じゃあ今度から男の子役の名前は枢にするわ」


ああでもそしたらお人形の名前も珠姫にしないと!
私、世界中のローザさんに嫉妬しちゃう!


「お兄様、ご用事?」


中断された遊びを早く始めたい優姫はうずうずしながら訊ききました。


「そうそう、君たちを呼びに来たんだ。お母様がもうすぐお茶の時間だから降りてきなさいって」


お兄様の言葉に優姫は突然ハッとして、鼻から深く息を吸い込みます。


「……今日はブラックチェリータルトだー!!」


え!匂いで分かるの!?
だって居間は一階だよ!?(ちなみに私たちの部屋は三階)
その嗅覚すごいね!

と感心している間に優姫は脱兎のごとく部屋から飛び出して行ったのでした。


「こら優姫!お片づけ!」

「あーーとーーでーーー」

「もうっ!」


なーんて、口ではそう言いながらもグッジョブ妹よ!
だってお兄様と二人っきりー!


「ほら珠姫、お片づけは後にして一緒に行こう。早くしないとせっかくのタルトが冷めてしまうよ」

「お兄様…」

「ん?なに?」

「だっこして?」

「甘えん坊さんだね」


そう言いながらも嬉しそうに笑うお兄様。
広げられた両腕に思いっきりダイブです!
首に手を伸ばしてぎゅっとしがみつき、そしてどさくさに紛れてうなじの匂いを嗅ぐ!
あーお兄様の匂い、スーハースーハー
ブラックチェリータルトより断然こっちの方が好みだわ!


「お兄様、このまま降りてって?」

「畏まりました、僕のお姫様」


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