とある乙女の華麗なる日常 | ナノ
episode8


「優姫、まだダメだよ」

「がまん……できないっ…」

「ダメ、絶対に止めて。私も限界なんだから!」


などと言いながら私たちは一条家の廊下を全力ダッシュ。
その途中、お兄様の後姿が見えました。


「「お兄様!」」

「珠姫、優姫、そんなに急いでどうしたの?」


あれ?お兄様、なんだか血の匂いがするけど気のせいかしら?
そして拓麻の姿がない?気配もない??
ああでもそんなことに構ってる暇はない!
今すぐにこのお屋敷から出ないと!!


「お兄様っ!早く帰りましょう!」

「珠姫?」

「早く!早くお兄様!」

「優姫?」


私たちはお兄様の手を引きまた駆け出します。
応接間に向かえば、そこには何故かジェンガで絶賛盛りあがり中の大人組がいました。


「それは絶対無理よ〜」

「お兄様、こっちのブロックの方が抜きやすそうですよ」

「いや僕はやる!お前たちは黙ってろ!」

「ほらほら揺れてるわ!」

「手が震えてますよ」

「煩い!……あっー!!」


その瞬間ガラガラと崩れるブロック。
くるくるの頭を掻きむしるおじたまに、大笑いのお父様とお母様。
平均年齢3000歳の兄妹が何やってるんだ…。

って今はそんなことしてる場合じゃないのよ!!


「お父様、お母様、おじたまっ!」

「早くかえろう!」

「いや待てマイスイートエンジェルズ!ここはおじたまの名誉にかけてもう一回…」

「「いいから早く!!」」


険しい顔の私たちに大人組は訳が分からずきょとん顔。
そんな彼らを引っ張って、一条家の使用人の皆さんに見送られながら私たちは全速力でリムジンに駆け込みました。


―4/6―

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