episode8
「前方の廊下に敵の姿は見えません、優姫隊員」
「珠姫たいちょう、うしろもおっけーです!」
柱の影に隠れて優姫と背中合わせに周囲を確認。
右よーし、左よーし、上もよーしっ!
「突撃します!」
「らじゃー!!」
私と優姫は現在、一条邸を調査中であります。
ミッションは怪物イチオーにさらわれたお兄様と拓麻を救出すること!
(これはヒロインの妄想であって、実際拓麻は枢様に連れられたのでした)
今頃お兄様と拓麻のあのイノセントな肌に一翁の毒牙が迫っているかと思うと……うわあああああ!!!
私のお兄様がっ!お兄様が汚れちゃう!!
そんなこと絶対にさせないんだからっ!
でももしそんなデンジャラスな状況じゃなくて見目麗しい美少年たちの撮影会だったら喜んで参加させてもらおう!そうしよう!
「ねえねえ珠姫、このまえ見たスパイ映画みたいだねっ」
「しっ、優姫、これは本当のミッションなんだから真剣に!」
「いえっさー!」
優姫はびしっと見よう見まねの敬礼を決めた
な ん だ こ の 子 可 愛 い !!!
ああっ!スパイっぽい服をワンピースの下に着て来ればよかった!
そしたら写真撮ったのに!
スパイコスというレアな写真をお父様やおじたまに良い値で売りつけられたのにっ!
「珠姫たいちょう、イチオーはどこにいると思いますか!」
「気配を探ってみようか優姫隊員」
「んんんんーー」
「ぬぬぬーーー」
「気を探る」とか、トリップする前はドラ〇ンボールでしか見たことなかったけど、これが実際に出来ちゃうんですよねーww
吸血鬼ってすごいよね!スーパー〇イヤ人なのかな!
なんて考えながら一翁の気配を探っていると…見つけた!
「「あの奥の部屋だ!」」
二人の声がハモりました。
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