とある乙女の華麗なる日常 | ナノ
episode7


「あ、珠姫ちゃん、口元にチョコが付いてるよ」

「え、どこ?」

「ほら、ここ「珠姫」


拓麻のすらりとした指が私の唇に触れる寸前、くいっと顎を引かれたかと思えば次の瞬間には口端に温かいものが触れました。

………(思考フリーズ)

ぎゃあああああああああああ!!!!!
おおおおおおおお兄様まままま!!!!お兄様が私の唇を舐めたああああ!!!
お顔が近いですお兄様!!ああ!!端正なお顔が目の前に!!そんなに麗しく微笑むのは作戦ですか私を殺す気ですか!
本気で一瞬心臓が止まったんだけど!!
そして今は心拍数MAX!!
血の巡りが良いよ!頭に血が上るよ!てか鼻に血が集まってるよ!!
いやマジちょっとこれは危険フラグ!!
私このままだとお兄様の麗しの容貌かんばせに鼻血を吹っかけてしまうかもしれない!!
いやそれはダメ!それは絶対にしては駄目!!
玖蘭珠姫の身体中の全器官・全細胞に命令する!!
全力で鼻血を阻止せよ!!!!


「一条…、珠姫に何をしようとしたんだい?」

「枢だって、何をしたんだい?」

「(鼻血おさまれ鼻血おさまれ鼻血おさまれ)」←聞こえていない

「僕はただ可愛い妹のお口を綺麗にしただけだよ」

「だからって舐めることないよね。というか僕の邪魔をしたよね」

「(鼻血おさまれ鼻血おさまれ鼻血おさまれ)」←聞く余裕すらない

「邪魔?そうだよね邪魔だよね。君が」

「え、ちょ、枢?僕たち友達でしょ?」

「(鼻血おさまれ鼻血おさまれ鼻血おさまれ)」←というか鼓動がうるさくて聞こえない

「一条、 ちょっと表に出ようか」

「ねえ枢、きみ目が本気なんだけどっていやだよ!引き摺らないで!いやあああぁぁぁ!!!」


ふーやっと静まった
あぶないあぶない☆
ってあれ?お兄様と拓麻がいない??


「優姫?お兄様と拓麻は?」

「んー?知らないー」

「え、さっきまでいたよね!?」


まさか…!
私が鼻血に気を取られているうちに(そして優姫がお菓子に夢中になってるうちに)一翁が二人を連れ去って行ったんじゃ!!
そうだよね有り得るよね!
だってさっきの様子からして一翁は可愛いもの好き!
私と優姫はさっき堪能したから今度は見目麗しい少年たちをロックオン☆したんじゃなかろうか!!
拓麻は孫だし普段から見慣れているとはいえ、お兄様と一緒にいるところを見てその魅力を再発見!というかこの美少年二人組の絡みはヤバくね?みたいな!?
実はこっそりと二人の紅茶に入れておいた催眠薬で二人を眠らせて、私がちょっと目を離したすきに二人を秘密の部屋に連れ去って少年たちが眠っているのをいいことにあんなポーズやこんなポーズを取らせて秘密の撮影会とか!!?
もしかして一翁は腐男子ならぬ腐ジジイなの!!?
だとしたら超話が合いそうな気がするけどお兄様に目を付けるのは許せん!!
というか美少年二人のピュアでイノセントでラブな絡みを独り占めするなんて羨ましい!!
是非私もその撮影会に参加したい!そして玖蘭枢フォトコレクションに新たなページを!!!


「優姫!もしかしたらお兄様と拓麻は一翁に連れ去られちゃったのかもしれない!!」

「うそ!!たいへん!!二人がいちおーに食べられちゃう!!」

「食べられ……!!」


そうだよそうだよ!!
一翁が本物のHENTAIだったら!!?
美少年たちのめくるめく撮影会なんて私としたことが考えが甘かった!!
お兄様と拓麻は今頃あのジジイの毒牙にかかってるかもしれない!!!
それはいやそれはいや!!
私のお兄様がああああああああああああああ!!!!!


「…許せない、一翁」

「優姫もいちおーきらい。うざいもん」

「「二人を助けに行かなきゃ!!」」


一翁ではなくお兄様に連れられた拓麻がどこかの部屋の片隅で断末魔の悲鳴を上げているとはつゆ知らず、
私たちは吸血鬼界の怪物イチオーを倒す冒険の旅に出たのでした。

【続く】

え、これ続くの!?


next→あとがき
episode8 5歳:一条さんち編(後)
―6/7―

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