とある乙女の華麗なる日常 | ナノ
episode7


「ふわあああああ!!」


カスタードたっぷりのシュークリーム、とろけるようなチョコレートケーキ、フルーツがぎっしりのタルトレット
十数種類のプティ・フール、甘ぁい香りのミルクティ

テーブルの上の天国に優姫は瞳を輝かせております。


「これっ、ぜんぶ食べてもいいの!?」

「どうぞ、優姫ちゃん」

「やったぁー!!」


よかったねーゆっきー。
お菓子がたくさんあって幸せだねー。
あー、この子可愛いーもふもふしたいもきゅもきゅしたい。
何この可愛い生物!!


「珠姫ちゃんは何が好き?」


早速お菓子にがっつく優姫に微笑んでから、拓麻は私に振り向いてそう聞いてきました。

え、私?私が好きなのは拓麻さんですよ!
そのキラキラの金髪を指で梳いて、すべすべなお肌をつんつんして、幼さの残る端正なお顔を心ゆくまで眺めたら、ビー玉みたいなお目目をじっくりと見つめながらあなたの全てをいただきま(自重
すみません、お菓子のことですね!はい!
でも珠姫は今(妄想で)胸がいっぱいで食べる気分じゃないの!
でもぉーせっかくだしぃー、拓麻に食べさせてもらいたいなぁーなんちゃって!きゃ!


「珠姫はチョコレートが好きだがらそのケーキを取って、一条」


あらやだ隣から暗黒オーラ!

なんですかその珠姫のことは僕が一番知ってるんだから的な目線は!
やだお兄様!もしかしなくっても私が拓麻ばっかり見つめてるからやきもち妬いちゃってるの!?
さっきも私の笑顔に頬を染める拓麻にジェラシービームを放ってたしね!
でも心配しなくて大丈夫よお兄様!
いくら他の殿方にキャアキャアハアハアウキョキョキョキョとなったとしても、珠姫が一番好きなのはお兄様ですから!!


「枢、僕は珠姫ちゃんに聞いたんだけど…」

「僕はただ教えてあげただけだよ。君は珠姫が何を好きかも知らないだろう?」

「今日初めて会ったんだから当たり前じゃないか」

「そうだよ一条。君は今日初めて珠姫に会ったんだよ。何も知らないのは当然だよね。でも僕は珠姫が生まれた時から一緒だからね、珠姫のことを何も知らない君に珠姫の好きなチョコレートケーキを取ってと頼んだだけだよ」


ああんもうお兄様!
綺麗に微笑みながらも拓麻を棘のある言葉でちくちくと牽制するなんて!!
そんなブラックなところが好き!!
私は生まれる前からお兄様を見つめてきましたよ!
お兄様だけを見つめてお兄様のことだけを考えてお兄様に会えることだけを夢に見て実際に夢小説なんか読んでお兄様の妹になりきる日々を過ごしていたらいつのまにか本当にお兄様の妹に生まれ変わっていました!!
嗚呼!!トリップの神様ありがとう!そしてありがとう!!


「珠姫ー?どうしたのにやにやして」

「なんでもないの大丈夫!それより優姫、お口にクリーム付いてるよ」

「え、どこどこ?」

「ここ」


優姫の唇の右端についたカスタードクリームを指で掬ってぺろりと舐めたのを、隣の二人の少年が顔を赤くして見ていたのには気付きませんでした。
ん?二人ともどうしたの?


「…枢、珠姫ちゃんのあれは天然?」

「当然だよ一条。こんなに小さな珠姫が計算であんなことをするはずないだろう。優姫の口端のクリームを掬う指先のなめらかな動きもそれを舐める妖艶な仕草もその時の上目づかいも全部天然100%だよ」

「ある意味末恐ろしいね。いや、是非このまま成長してほしいけど」

「今の発言はどうかと思うよ一条」

「君、人に言えるのかい?」

「お兄様?拓麻?どうしたの?」


二人でこそこそしちゃってー
何のお話?


「何でもないよ、珠姫」

「ほら、珠姫ちゃん、チョコレートケーキ!」

「ありがとう拓麻」


んん!このチョコレートケーキ美味しいー!
しっとりとしたチョコのスポンジにこれまた濃厚なチョコクリームがたっぷり!
ピスタチオとフランボワーズが食感と味に変化をつけててぺろりといけちゃいます。
一条家のシェフはいい仕事するねー。

チョコレートケーキの素晴らしい美味しさに夢中で食べていると、拓麻とぱっちり目が合いました
きゃああああああああ!!!!!
微笑んでる!拓麻さんが私に向かって微笑んでる!!
あれ?でも、その眩しいほどの王子スマイルの向こう側に何やら黒いものが見えるのは気のせいでしょうか??


―5/7―

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