とある乙女の華麗なる日常 | ナノ
episode7


と、そんなおしゃべりをしている間に着きました一条邸!
わお!おっきいねー!
THE洋館!なうちと違って大正チックな雰囲気の一条さんち。
そういえば原作でもメイドさんたちは着物にエプロンを付けてたっけ。
いいよねー大正!大正ロマン!!


海老茶の袴姿に編み上げブーツ履いちゃってさ!ハイカラさん!!
髪の毛をおリボンで結ってさ、桜並木を歩いていたら、くいっと髪を引っ張られる感触。
「あらいやだわ、桜の枝におリボンが…」
「おや、どうしたのかな。可愛いお嬢さん、お困りのようだね」
後ろから響く低い声。
あらまあどうしましょう、殿方とはむやみに話してはいけないと言うのに。
でもおリボンが枝に引っかかって振り向けないわ、どうしましょう。
「ほら、取れたよ。お転婆な人だ」
やっと振り向くと、そこには学ランに外套を羽織り、学生帽を被った男子学生が微笑んでゐた……。


……これこそ正義!
学ラン+学生帽+外套!!
大正ロマン!乙女のロマン!浪漫浪漫!!
やばいどうしようお兄様に絶対似合う!!
外套からするりと手を出してちょいと学生帽を直す仕種とかしてくれたら……萌え滾る!!
ああでもお兄様が外套なんて羽織ってしまったらその下が学ランであろうともきっと魔王様に見えてしまうわ!ww
でもいいの!珠姫はそんなお兄様が好きだからっっ!!!


「珠姫ー?どうしたのぼーっとして」

「何でもないのよゆっきー。ちょっと古き良き時代に脳内トリップしてただけ☆」

「…だいじょーぶ?」

「いつものことよ☆」


そうそう、今日の私とゆっきーのお洋服はクラシカルなマリンテイストのワンピースです。
お袖がパフスリーブになってて可愛いのよ!裾と襟元にラインが入ってるのー!
私が白地にネイビーのライン、優姫がネイビーに白ラインで色違い。
髪は下ろしてお揃いのカチューシャを付けてます。


と、そうこうしているうちに一条家執事に案内されてロビーへ。
そこにはすでに一翁が待機しておりました。


「今日はお招きありがとう、一翁」

「いえいえ悠様。玖蘭家の皆様にご来訪頂けるとは一条麻遠光栄の極みでございます」


「自分からさんざん誘っといてよく言うわ」とお母様がぼそっと零した声が聞こえました

ほぉー、これが一翁かぁー。
んー?でもなんか原作と雰囲気が違うような??
原作には、『長い年月を経た吸血鬼は目の前の者にとってその視線も吐息も毒に等しい』とか書いてあってけどさ
何も感じないんだけど??
……あー、なるほど!
お父様(推定3000歳)、お母様(推定3000歳)、おじたま(推定3000歳)、そしてお兄様(始祖)
これだけのメンバーに囲まれて育ってきたんだもん
数百歳の貴族の毒なんざ、そりゃあ効かないはずだよねーはっはっはwww


深々と下げた頭を上げた一翁
その瞳とぱっちり目が合いました。


「これはこれは…、初めまして姫様方。一条麻遠でございます」

「珠姫、優姫、ご挨拶しなさい」


お父様に言われて、お母様の洋服の影に隠れていた優姫がおずおずと出てきました。
お母様は嫌そうながらも優姫に前に出るよう促します。

ゆっきーは可愛いなぁもう!
人見知りなんかしちゃって!
このはにかみやさん!!
大丈夫よ!おねいちゃんがついてるから!
得意の営業スマイルで優姫の分まで完璧に挨拶してあげるからねっ!


「はじめまして一翁、玖蘭珠姫です。お会いできて嬉しいです」

「……優姫です」

「……これはまた」


一翁の口髭がピクピクとひくつく。
なに!?嫌味でも言う気!?
ゆっきー可愛いでしょ!?
私はもっと可愛いでしょ!!?
喧嘩売るなら買うけど何か!?


「………なんとお可愛らしい!!!」


でっしょー☆
って………え?

ぺたぁっと床に膝をついて私たちの手を取る一翁。
その目は……デロデロにとろけておりました。


「なんと美しい!なんと愛らしい!!艶やかな黒髪!つぶらな紅い瞳!整ったお顔立ち!お揃いのワンピースのこれまたお似合いになること!!珠姫様がお姉様なのですね。さすがにしっかりしておられる。妹君の優姫様もいじらしくてまあ!悠様も樹里様もお人が悪い。こんなに可愛らしい姫様方に今まで会わせて下さらなかったとは。でもそれも頷けますな。こんなに可愛らしい姫様方を数多の吸血鬼の目に晒すのはもったいない!いやしかし姫様方の社交界デビューは是非とも私が主催させて頂きたいものです」

「何を言うか一翁!姪っこ達のデビューは僕の夜会と決めている!」

「それは許しませんよお兄様。…それより一翁、その辺で…。娘たちが動揺しています」


さすがお父様!助けてくださってありがとう!!

びびびびっくりした!!
さすがの珠姫ちゃんもびっくりした!!
え!?一翁ってこんなキャラだったの!!?聞いてないし!!
子猫にぐりぐり頬ずりする愛猫家みたいな勢いで話すもんだからもう!!
ほらっ!ゆっきーが怯えてるよ可哀想にっ!
だってあの顔で!それも至近距離であんなことを言われるなんて!ああああぁぁぁ……


「だから会わせなくなかったのよ…」


お母様がげんなりした顔でぼそっと言いました
あー、お母様が一翁を厭う理由がやっとわかったよ…
こういうことだったのね……。ぐったり。


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