とある乙女の華麗なる日常 | ナノ
episode5


ここは私と優姫のおもちゃ部屋。
主に李土おじたまが買ってきてくれた物で埋め尽くされております。


「せんり、なにしてあそぶ?」


ここには何でもより取り見取り。
さぁさぁ、どれがええんかどれがええんか。
「たまき」
え!?私!!?
やだもう千里ったら、気が早いんだから☆
でも私も…千里がいい…。

って待てぇい!
今私の名前を読んだのは誰だ!!?


「たまき」


あぁ、この鈴が鳴るような愛らしい声は…
千里たんだぁあ!!

千里たんに名前を読んでもらったよーう!
やっふぅーーー♪


「なあに?せんり」


なーんて脳内は微塵も見せず、にっこりと微笑む私。


「あれ…」


そう言って千里が指差したのは一昨日届いたぬいぐるみ。
お父様から買ってもらった大きなテディベアでした。

千里はゆっくりそれに近づいて
ぽふん、とその上に座ったのです。


…!
……!!
千里たんがテディに抱っこされてるーーー!!!
なんじゃあこの悩殺☆コラボはっっ!
カメラっ!!
誰かカメラを持ってきてぇぇ!!!
ヤバイヤバイヤバイ
サケーブからハナヂダースに進化するよっっ(ちなみに進化順はニヤケール→サケーブ→ハナヂダース→トケツスール)
いやいや、駄目よ珠姫!!
こんな小さな子達の前で鼻血なんか出したらトラウマになってしまうわっ!!
あ、でも吸血鬼だから大丈夫かしら?


そんなことをぐるぐると考えていると


「せんりずるいっ。ゆーきも!」


とたたたたっ
ぽすんっ


優姫はそう言って千里とは反対の熊の足に座りました。


どうしようっ!!
ここに『吸血鬼可愛さ選手権』の一、二を争う子供たちが巨大テディと夢の共演を果たしてる……!!
……これはもう進化するしか道はない
トケツスールに。

でも待って!
そうだわ私も三歳児
ここで
「せんりもゆーきもずるーい!じゃあたまきもっ」
とか言って、あの中に入っても犯罪にはならないじゃない!
それどころか似合うわ、うん。すごく。
あの可愛さに私の美しさが加わったら完璧っ!
きっと世界を牛耳れるっ!
あぁ、でも待って、問題がっ!
私がそっちに行ったらこの素晴らしいショットをカメラに納める人がいないじゃないっ!(最早カメラを持っていないことは頭にない)
どうしましょうどうしましょう
この世紀の光景は後世に残さなければいけないのに!!!


そこで私は気配に気付き、扉を見やってにやりと笑いました。

よし、行ける!!


「せんりもゆーきもずるーい!じゃあたまきもっ」


とたとたとた
ぽふんっ☆

その途端切られる無数のシャッター!


「可愛い!!可愛すぎるぞお前たち!!」
「……っ同感です、お兄様」
「これなら世界が取れますね」
「ちょっと、もう少し声を落として!あの子達に気付かれちゃうわ。キャー!!悠、悠!!珠姫の今の笑顔、ちゃんと撮った!!?」
「バッチリだよ、樹里。でもほら、声を落として」


皆様ナイス!
グッジョブ、ブラボー、ファンタスティックっ!!!
撮ってくれてありがとうっっ!!
大丈夫、優姫も千里も気付いてないわっ!
だからもっとシャッターを切って!
この光景をカメラに納めて頂戴!!
そして私に焼き増ししてぇぇぇ!!!

もっふもふのテディにくるまれて、私は扉の隙間に隠れて盗撮する彼らに微笑みました。
精一杯の感謝を込めて。


「ぶほっ!!」
「お兄様っ」
「李土!?」


おじたまの血の匂いがしました☆
どうやらトケツスールになってしまったようですっ☆アハ


―4/6―

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