とある乙女の華麗なる日常 | ナノ
dream3


「もう、上級生相手に無茶するからだよ」
「あいつらが悪いんだろ」
「俺が行かなきゃどうなってたか…」
「俺一人でも勝てた。――――誰だ!?」


私が降り立ったのは、よく似た銀髪の二人の少年の前だった。

やっぱり君たちだと思った!
灰閻さんと同じハンター独特の気配がしたんだよねー。


「やぁっと会えた……零。それに、壱縷」


きゃーん!二人とも中等部の制服着てるー!!
学ランじゃないのが惜しいけどセーターにネクタイもこれはこれで良き!
顔立ちも原作よりちょっとあどけないね!だって十四歳だもんね!
かーわーいーいーーー!!!!!
もう!同じ学園にいたなんて知らなかったわ!灰閻さんも教えてくれれば良かったのにっ!

っていうかさっきの会話なに!?
二人とも頬や手に怪我してるし、もしかして喧嘩?青春がアミーゴしちゃったの!!???
風に運ばれてきた甘い血の香りはやっぱり君たちだったのね!
おっと、零りんと壱るんに会えた嬉しさに勢い余ってエンジェルスマイル120%になっちゃったよ☆


「お前は……っ」


零は一瞬固まった後、壱縷を背に庇いながら驚いた顔で私を見つめた。
あ、急に上から現れたから驚かせちゃった?ごめんごめん☆


「何故こんなとこにいる!?」


何故って言われてもなー。
ってそっか、これが初対面になるのか…!
というか夜間部の存在も知らなかったりする?出来たばっかりだしねぇ。
そりゃ急に見知らぬ吸血鬼が表れたらびっくりするよね。
大丈夫だよ〜、怪しい吸血鬼じゃないよ〜。


「私、夜間部生なのよ。あ、夜間部って今年から出来たんだけど……」


私は白い制服を見せびらかすようにくるりと一回転した。可愛いでしょ?
すると壱縷が警戒と困惑の入り混じった表情で零と私の顔を交互に見つめてくる。


「零、この子のこと知ってるの?」

「それは……その……」


おや?零りんのこの反応、私のこと知ってるっぽいな?
ということは、数年前のあれは夢じゃなくて現実だった?幽体離脱的な??
ちょっと鎌かけて確かめてみよう!


「あら零、忘れちゃったの?前に会ったでしょう?」


私は上目遣いになるようにわざと小首を傾げながら零を見上げた。
そしてするりと近付いてその耳元でそっと囁く。


「――――夢の中で」

「なっ……!」


零は瞬時に耳まで顔を真っ赤に染めた。
あ、やっぱり覚えてた!
というか赤面する零りんかわゆ!なんて揶揄い甲斐があるんだ!

ふいに零の頬にある新しい傷が目に入る。
…………すんごい良い匂いがする!!
ねぇちょっと、人間の血ってこんなにも良い匂いするの!?
純血種の熟成された美酒にも似た芳醇な香りとはまた違う、森の若芽と採れたての蜂蜜に瑞々しい果実を合わせたようなフレッシュな香り……。
あー!ちょっとたまんない!これだけ良い匂いなら一体どんな味がするの?
あぁあ齧りたい!!いや齧っちゃダメ!でも味見したいぃぃぃいい!!!
肌についた血をぺろっと舐めるだけなら許されるかなぁ?


―4/9―

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