とある乙女の華麗なる日常 | ナノ
dream3


「珠姫様、お電話です」


授業が終わった深夜二時。自室でごろごろしているとメイドさんが電話を持ってきた。
誰だろー、お母様かな?


「はいもしも…」

「ちょっと珠姫さん!あなた学園ごっこをやってるだなんて本当なの!?」


受話器を耳に当てた途端キンキン声が鳴り響く。
チッ、もうバレたか。
なぁんてことはおくびにも出さず、きゅるんとエンジェルボイス80%で答えます。


「あら更さん久しぶりー。学園ごっこじゃなくって本物の学園に通っているのよ。お兄様と一緒に。そういえば言ってなかったかしらぁ?」


わざと言わなかったんだけどねー。
「お兄様と一緒」のところはしっかり強調しましたよ。


「わざとわたくしに黙っていたんでしょう!どうして教えてくれなかったのよ!?」

「だってほら、考えてもみて?夜間部はお母様が創設者でお兄様が寮長兼クラス長様なのよ。いわば玖蘭家うちのの学園なの。そこに他家の純血種が来たら、貴族たちがどちらを優先していいか迷っちゃうでしょう?」

「まぁ!純血は玖蘭の者しか入れないというの!?横暴だわ!」

「そんなことは言ってないわよー。でもほらー、更さんに肩身の狭い思いをさせちゃうのも悪いしー」


受話器のコードをくるくると玩びながらあえてイラつかせる言い方をする。
だってー、お兄様とのラブラブ学園生活を邪魔されたくないしー。


「んまぁ!玖蘭家の独裁国家というわけ!?いいからわたくしも入学させなさい!」

「え、やだ」

「どうして!わたくしも(貴女とお揃いの)制服を着たり、(貴女と一緒に)授業を受けたり、(貴女と一緒の)寮生活を送ったりしたいのに!」

「更さんってば結構学園生活に憧れてたのね、意外だわー」

「そう、そして月の下でスールの契りを交わして念願のお姉様呼びを……そうだわ!わたくしが玖蘭家に(養子に)入れば学園にも入学できるし正真正銘の姉妹になれるじゃない!そうとなったら早く(養子縁組の)手続きをしましょう!」

「何ですって!?そんなこと絶対にさせるもんですか!!」

玖蘭家に入る?嫁入りするってこと!?
手続きって婚姻届け!?正真正銘の”義姉妹”になれるですって!!?
お兄様と結婚するのは私よぉぉぉぉおおおお!!!


「更は絶対この学園には入れないから!!」

――ガチャン!

「待ってわたくしの紅薔薇のつぼみロサ・キネンシス・アン・ブゥトン…!」


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