dream2
「おはよう、珠姫」
微睡みから目を覚ますと、真正面にお兄様のお顔のドアップがありました。
あ〜〜〜〜、寝起きのお兄様のこの色気よ……。
どんな眠気覚ましドリンクよりも効くよね!
「ん〜、おにいさまぁ……」
でも私も負けてないんだから!
まだ眠いふりをしてか弱い力でお兄様のシャツを掴み、すりすりとその胸にすり寄る。
この時、舌足らずな甘い声を出すのがポイントよ☆
「……っ、」
作戦通りお兄様が軽く息を飲む音が聞こえた。
ふっ、やったわね。
「……起きて、珠姫。今日から登校だよ」
ガーン!!!今まで通り玖蘭の屋敷だったら、お兄様にぎゅっとされてもうひと眠りしているところだったのに!
でも仕方ない、今日は記念すべき初登校。寮長様を遅刻させるわけにはいかないものね。
寝起きのイチャイチャタイムは休日に取っておこう。
「おはよう、お兄様」
体を起こすと、頬にちゅっとおはようのキスをされる。
はぁ……、至福。
「目が覚めるようにシャワーを浴びておいで」
猫足の浴槽がキュートなバスルームには私が普段から使っているシャンプーやトリートメント、スクラブやボディクリームまですっかり揃えられていた。
こういう小さなところからも、お兄様がちゃんと私と一緒に住むことを考えてくれてたんだと思えて嬉しくなる。
ご機嫌で鼻歌なんか歌いながら身体の隅々まで洗って保湿をし、新しい下着を身に着ける。
白地にピンクのレースとリボンが可愛い上下セット。
夜間部の黒いシャツに白いスカートを履いたところで、ふと気付いた。
……あれ?実家ではいつもメイドさんたちが用意してくれていたから気にも留めなかったけど、この着替えの準備をしたのってお兄様しかいないよね?
え??下着も???
…………お兄様!!!!準備しすぎ!!!!
サイズもバッチリだったんだけど!!!!!
今度から忘れずに着替えは自分で用意しよう。
いやでも考え方を変えれば、今日一日お兄様に下着の色を知られているっているのは一種のプレi……ゲフンゲフン。
やだわ、お兄様が選んでくださった下着を付けているって考えただけで火照っちゃう。
「珠姫、シャワーに当たりすぎた?顔が赤いよ?」
「ううん、何でもないの、お兄さ、ま……」
寝室に戻ると、そこには完璧に準備を整え一部の隙なく夜間部の制服を纏ったお兄様が立っていて私は思わず言葉を失った。
―6/9―