とある乙女の華麗なる日常 | ナノ
dream2


そしてようやく!月の寮の入寮日です!

高い壁の奥、重厚な扉の向こうに聳えるのは瀟洒な白い館!
夢にまで見た月の寮が目の前に!
今日からここでお兄様とのラブラブスクールライフが始まるのね☆
おはようからおやすみまでお兄様と一緒に過ごせるだなんて……!!!
はぁぁぁぁぁんっ!妄想しただけで胸がドキドキして鼻の奥に赤いものが込み上げてくるわっ!


「お兄様、私たちの新しいお部屋はどんなお部屋? これからずっと一緒だなんてすごく楽しみよ!」

「……ああ、お母様が熱心に家具を選んでくれていたよ」


ん?なんか今、目を逸らされたような……。
気のせいかな?気のせいよね?


「どうぞこちらへ。お荷物はすでにお部屋へ運び入れてあります」


シャンデリアの煌めくロビーから、聖煉に案内されて各自の部屋が集まる二階へと足を踏み入れる。
その廊下の最奥には一際立派な両開きの扉があった。

ここが私たちの愛の巣ね!
……と、あれ?枢様のお部屋って確か行き止まりにあったはずなのに、その先にも廊下が続いているのは何故かしら?
あっ!ゆっきーのお部屋か!
そうよね、大事な玖蘭の末っ子姫だもの、セキュリティーは万全にしないと。
最恐魔王である寮長様のお部屋の前を通らないと辿り着けない部屋となれば、どんな勇者でも立ち入ることは出来ないわ!


「こちらが枢様のお部屋、そしてあちらが珠姫様と優姫様のお部屋です」


聖煉が深々とお辞儀をしながら言った。
ん?聞き間違いかな?
ここが『枢様と珠姫様のお部屋』で、あっちが『優姫様のお部屋』よね??


「明日から授業が始まるから今日は早めに休むといいよ。僕は隣にいるから何かあったらすぐにおいで」

「待ってお兄様、私はお兄様と一緒のお部屋じゃ……」

「珠姫、早く入ろうー!」

「え、ちょっ、優姫……!」


はしゃぐゆっきーに腕を引かれ、事態を飲み込めないまま私は半ば強引に新しい部屋へ連れ込まれた。
広いリビングは白地に花柄がメインのロココ調のインテリアで整えられている。いかにもお母様が好きそうな雰囲気だ。
両側の壁にはそれぞれ扉があり、左側の扉には『珠姫のへや』、右側の扉には『優姫のへや』とご丁寧にプレートが掛けられている。
中に入るとそこはローズピンクを基調にした可愛らしい部屋で、チェストやクローゼットにはすでに私の荷物が綺麗に入れられていた。


「まさか本当に……ここが……私の部屋……?」

「珠姫の部屋はピンクなんだ〜。私の部屋は水色だったよ……って、珠姫!?何で泣いてるの?」


呆然と立ち尽くしながらドバドバと涙がこぼす私を見て、優姫はぎょっとした顔をした。

何でって……私の方が聞きたいわよ!!!
何でお兄様と一緒の部屋じゃないのよぉぉぉぉおおおお!!!!!


―2/9―

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