とある乙女の華麗なる日常 | ナノ
dream1


「……すごく、妬いたわ」


頬に熱が集中する。
絶対今、顔が真っ赤になってる。
潤んだ瞳で睨むように見つめると、お兄様は息を飲んでそれから小さく息を吐いた。


「……そう、それで僕への当てつけであんなに愛想を振りまいてたんだね」

「それは……その……」


仰る通りです。


「悪い子には、お仕置きをしないとね」


これ以上ないほど麗しくお兄様は微笑んだ。
月明りに照らされるのは、深紅の獣の瞳。


「おに……さま……っ」


気付かないうちにネクタイが解かれ、ブラウスのボタンが外されていた。
顕わになった首筋にお兄様の吐息がかかる。


「嫉妬を覚えた珠姫の血は、どんな味がするのかな」

「や……ぁ、……んっ……」


過敏になった肌に生温い舌がゆっくりと這い、そしてぷつりと鋭い牙が穿たれる。
吸血の痛みは恐ろしいほど快楽に似ていて、正常な思考をあっけなく奪っていく。
じゅるじゅると容赦なく血が吸われる音は卑猥なほど室内に響き、私の嬌声が重なってこだました。


「あっ……んんっ……、……おにい……さまぁっ……、も…う……っ」


足がガクガク震えて力が入らない。
もう少しで気を失うというところで、漸く牙が抜かれた。


「ご馳走さま、珠姫。いつもよりずっと甘くて、ほろ苦い味がしたよ」


失血と快感で頭がぼんやりする中、極上のワインのように妖艶な声音が耳元で囁かれる。
身体がゆらゆら揺れる。もう指一本すら動かせず、お兄様に抱かれたまま寝台に運ばれていくのが分かった。
シーツの上にゆっくり降ろされると、お兄様はおもむろに深く深く私に口付けた。
唇の間から舌と一緒に流れ込んでくるのは、甘くて苦い、お兄様の血。
それはいつもより一層、私への愛を叫んでいた。


「僕も珠姫の血しかいらないから……」

「……あっ……ん……、…ぁ……」

「珠姫も僕の血だけしか飲んじゃ駄目だよ。……いいね」

「…………ん」


返事の代わりに触れるだけのキスを返したところで、私の意識は途絶えた。

こうして私の学園初日は幕を下ろしたのです。
……すでにキャパオーバーだよ!!!


next→あとがき
―12/13―

|
[back]

×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -