dream1
言葉の意味が飲み込めずぽかんとする私に、お兄様はもう一度ゆっくりと言った。
「僕は星煉を咬んでない。彼女は元から吸血鬼だよ」
「だ…って、従者って……」
純血種が「僕の従者」って言ったらイコール下僕ってことじゃないの?
星煉だって原作で「我が主」とか言ってたじゃん!
下僕じゃないなら彼女は何者なの?
ファンブックにも星煉のページには『吸血鬼としての階級:不明』って書いてあったじゃんね!?
「階級的には<レベルB>、だけど彼女たちは貴族ではない」
「彼女"たち"……?」
「姓を持たず、家を持たず、古くから玖蘭の当主に仕える一族だよ。彼女の父親はうちの家令だ」
……ほへ???
いや確かに屋敷には私たちが生まれた時からロマンスグレーの執事っぽいおじさまがいるけどさ!
彼が星煉のパパンなの!?
そんな設定初耳だけど???
まあこの世界はおじたまもあんなだし、一翁もあんなだから今更かもだけど???
「……まさか、知らなかったの?」
お兄様の言葉に私はこくりと頷いた。
たぶんゆっきーも知らないと思うよ!
「星煉自身も、うちに仕えている者だって言っていただろう?」
えー、そんなこと言ってたかなぁ?
今日星煉と交わした会話を思い返してみる。
――『星煉、玖蘭珠姫よ。これからよろしくね』
――『玖蘭家の方々にお仕えするのが我が役目。何なりとお申し付けください、珠姫様』
……言ってたわ。
えぇぇええええ!!
それじゃあ私の勘違いだったってこと!?
ぎゃあああああああああ!!!!
恥ずかしいいいいいいい!!!!
今すぐここに穴を掘ってダイブしたいっ!
地中の底まで埋めてくれぇぇぇええええ!!!
「星煉のこと、妬いてたの?」
「えっと……だから……その……」
「だから……何…?」
お兄様はどこか楽しそうに笑ってる。
いつの間にか抱きしめられて身動き取れないし!!
これじゃあ穴掘れないじゃない!!
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