とある乙女の華麗なる日常 | ナノ
episode18


「樹里…、いえお母様…、その制服は……?」

「これはね、枢、今度から貴方たちが通う『黒主学園夜間部ナイトクラス』の制服よ♪」

「ナイトクラス…?樹里、何のことだい?」

「ほら悠、私、人間の学校に通っていたことがあったじゃない?それがすごく楽しかったら、子供たちにも同じような経験をしてほしくて。そしたらこの前、灰閻くんと道端でばったり会って、そしたらあれよあれよと話が進んだのよ」

「それじゃあ最近頻繁に出かけていたのも…」

「ああ、制服の生地を見に仕立て屋に行ったり、全寮制になるから新しい家具を選びに行っていたのよ。あとは一緒に通う貴族生の勧誘でお茶会巡りしたりね。その行き帰りに依砂也くんのこの屋敷を借りて灰閻くんと打ち合わせをしてたんだけど…。内緒にしててごめんね、悠。反対されたくなかったの」

「樹里!そのナイトクラスとやらには僕も通えるのか!」

「そんな訳ないでしょう李土のバカ!通うのは枢と珠姫と優姫よ!」


キターーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!
めくるめく学園生活ぅぅぅぅうううううううううう!!!!!
苦節十三年!!どれほどこの時を待ち侘びたか!!!
ぃよっしゃーーーーーーーぁぁぁああああ!!!!!!!!

心の中でガッツポーズ!!ああもう嬉しくってこの場で踊り出しそう!!!!
お母様にバカって言われて嬉しがってるド変態なおじたまも今なら温かい眼差しで見守れるわ…!


「珠姫!私たち学校に通うんだって!」

「優姫!どうしようすごく楽しみ!!」

「可愛い娘たちが喜んでくれて良かったわ。悠も李土も、賛成してくれるでしょう?」


お母様はにっこりと微笑みました。
反対する者など誰がいましょう、玖蘭家の絶対権力者はお母様なのですから☆
というかこればかりはお父様とおじたまがいくら反対しようとも断固推し進めるね!


「この制服、珠姫にきっと似合うね」


白い夜間部の制服を眺めて、お兄様は今までで一番嬉しそうな顔で笑いました。

きゃああああああああああ!!!!!!!!!!
お兄様その笑みは反則です!凶器です!!
それを言うならお兄様こそ!!!
純白の制服に身を包んだ月の寮の君!!麗しの寮長様!!!
嗚呼珠姫がどれほどそのお姿を夢に見て妄想を滾らせこうしてトリップしてきたか!!!!
やっとこの目で拝めるのね!!!!!!!ありがとうトリップの神様!!!!!!!


「お兄様にもきっとすごく似合うわ」

「それじゃあ、お揃いだね」


お揃い!お兄様とお揃いの制服!!!
一緒に登校して一緒に授業を受けて一緒の寮の部屋で眠るのよー!!!!!!
お母様!!!今すぐ入学しましょうそうしましょう!!!!


「良かった、樹里…。全寮制というのがちょっと気になるけどそれは後から詳しく訊くとして…浮気じゃなかったんだね。君が他の男に奪われたと思うと僕は気が狂いそうだったよ」

「……浮気?」


ほっと胸をなでおろすお父様。
その言葉にお母様のこめかみがぴくりと動きました。
……あ、これやばいやつ。


「そう…、悠。私が浮気していると思ったのね」

「…ご、ごめん樹里。僕が悪かったよ」

「私の気持ちを疑うなんて、愛し方が足りなかったみたいね。……千年くらいかけて私の愛を分からせてあげないと」

「あー樹里さん、僕は一旦帰るね!落ち着いたらまた連絡して!枢くん、珠姫ちゃん、優姫ちゃん、学園で会おうね!」


灰閻さん、もとい理事長は不穏な空気を察したのかいそいそと出ていきました。
屋敷に戻ってそれから一週間ほど、お父様の姿を見たものはいませんでした。


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dream1 やってきました黒主学園!
―6/7―

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