とある乙女の華麗なる日常 | ナノ
episode18


「あっ…、ダメよ…。んん……」

「じゃあ…これは…?」

「……ああ!…いいわ!……すごく!」

「それじゃあ……いいね?」


エントランスに入ると、隣のリビングらしき部屋から外にまで聞こえてくる声。
やだもうお母様ったらダ・イ・タ・ン!
じゃなくて!これあの……そういうシーンですよね?

ド 修 羅 場 じゃ ん !!!

恐る恐るお父様を見ると魔王様――というより最早、般若の顔をしていました。


「樹里ーーーーーー!!!!!!」


バァン!!と、お父様が叫びながら扉を開けるとそこには――――
お母様と見知らぬ長髪の男性が一緒にいました。
あ、良かった二人とも服を着てて……ってあれこの人もしかして……


「そうか…、ふふ…、まさか君が樹里の相手とは…。……その罪を己の血の海の中で懺悔するがいい」

「悠?あら、もうバレちゃった?」

「樹里さんそんな呑気な!ヤバいこれなんか絶対誤解されてるって…!!」

「言い訳は地獄で聞こう。――――黒主灰閻…!!」


やっぱり!!理事長だーーーー!!!
変な気配の正体は灰閻さんだったのね!ハンターと吸血鬼の両方が混ざった独特の気配!
しかも眼鏡なし&ハーフアップのハンター全盛期時代の格好じゃないですかぁ!
いやーこうしてるとイケメンだよねー。
あのうざくるしい理事長と同一人物とは思えない!
ってちょっと待って!!!お母様と灰閻さんの後ろに見覚えのあり過ぎる白い制服があるんですけどーーー!!!???


「お父様、待ってーーー!!!」


うねうねと何やらよく分からん黒いものをメタモルフォーゼさせて、今にも灰閻を攻撃しようとするお父様。
咄嗟にその前に立ちはだかって私が白い制服を守ったのと(灰閻さんを庇ったんじゃないよ?)
お兄様が自身の腕を変形させた赤い剣でお父様の攻撃を止めたのは同時のことでした。


「悠、周りをよく見るんだ。僕たちは何か勘違いしていたのかもしれない」

「珠姫…!?枢…!?……勘違いって何を……」


少し正気に戻ったお父様はゆっくりと部屋を見渡しました。
制服を着せられた数体のトルソーに、テーブルの上に散らばった布のサンプルらしきもの。
数十着の色とりどりのシャツに赤いリボンとネクタイ、薔薇のモチーフのネックレスとタイチェーン。


「樹里…、君たちはここで一体何を…?」

「制服のデザインを決めていたのよ。ほら見て!すごく素敵でしょ?」

「制…服…?」

「中のシャツの色に迷ってね、グレーかネイビーかしらと思ってたんだけど、ついさっき灰閻くんと話し合って黒に決まったのよ!」


お母様は近くのトルソーを引き寄せてジャーン!と見せびらかしました。
白いジャケットに黒いシャツ。
嗚呼!その制服は…!!!


―5/7―

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