episode18
ということで尾行です!
今回はなりきり☆探偵ルック!
茶色の鹿撃ち帽に同生地のインバネスコートを羽織って名探偵気分♪
玖蘭家の衣裳部屋に何故かしっかり全員分ありましたよ!
「似合っているぞマイエンジェルズ!なんて可愛いんだ!」
「伯父様離れてください写真の邪魔です」
バシャバシャとシャッターを切るお兄様。
嗚呼!ホームズなお兄様もとっても素敵よ!
知的ポイント500点!
アンニュイポイント500点!
ミステリアスポイント1000点!!!
お兄様がシャーロックなら私はワトソン?
いいえ、アイリーン・アドラーね!
唯一ホームズを打ち負かした美貌のオペラ女優!
貴方の頭脳を出し抜いて一生忘れられない女になってやるわ!
「枢、僕の分も頼んだよ…」
「任せてください、お父様」
げっそりした顔で、それでもお兄様に写真を頼むお父様。
うん、そういうところは抜かりないんだね。
そしてお父様は目を瞑ったまま微動だにしなくなりました。
「悠は一体何をしているんだ?」
「お母様の気配を辿ってるんだって。優姫わかる?」
「わかんない。遠すぎるよー」
「僕にも分からんぞ…」
私たちが気配を察知できるのが頑張っても屋敷の範囲内(といっても玖蘭の屋敷ってめちゃくちゃ広いのよ)
おじたまならその何倍も遠くまで辿れるだろうけど、それでも分からないってことはお母様はかなり遠くまで行ってるってことで……。
「―――――見えた」
「え!?」
「皆で一気に行くよ。落ちないように」
え!?分かったの?うっそ!!
お父様ったらお母様の気配なら地球の裏まで辿れるんじゃ……。
と、思っていた矢先、大きな黒い蝙蝠に視界が覆われたと感じたら、ぐわんと世界が揺れました。
そして次に目を開くとそこは知らない街角で―――
これってあれでしょ!?原作で枢様もやってた付き添い姿現し的な!
これって複数人一緒に出来るの!?
「悠…、お前、全員を一度に運んだのか!?この距離を!!?移動地点を教えれば僕も手伝ってやったのものを!」
「説明する時間も惜しかったんです。大丈夫ですよお兄様、純血種が死ぬ気でやればできないことなんてありませんから」
お、お父様の目は本気だ。
本気と書いてマジと読む…!マジの目だ!
おじたまがこんなにもびっくりしてるってことは、長距離×複数人移動ってかなり消耗するんじゃない!?大丈夫なのお父様!!??
と、目の前の蔦の蔓延るお屋敷を見上げると、なんか既視感…。
あれ、ここって…?
と思った同じタイミングでお兄様が口を開きました。
「お父様、ここは菖藤家の屋敷じゃ…?」
「しかし依砂也は休眠中だろう?」
「でもおじたま、ここからお母様の気配がするよ?」
あー、そうだそうだ!依砂也さん家だ!
そしてゆっきーの言う通り、確かに中からお母様の気配がする!
あとなんか変な?今まで感じたことのない気配も。
……もしやその気配の持ち主がお母様の浮気相手なの!?
「皆、行くよ」
本気(MAJI)な目のお父様は静かな声で言うと、お屋敷の中に乗り込んでいきました。
(「優姫、お父様とお母様がお別れしたらどっちについていく?」)
(「えー、お母様かなぁ。お菓子美味しいし」)
(「可哀想なマイエンジェルズ…!心配せずともおじたまが引き取ってやるからな!」)
(「黙ってください伯父様。珠姫も優姫も僕がしっかり面倒を見るからね。伯父様は放っておいて三人で一緒に住もう」)
―4/7―
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