episode18
「浮気だな!」
きっぱり言い放ったおじたまの一言でお父様は完全ノックアウト。
そのままテーブルに突っ伏しました。
あれ?息止まってない??
「樹里め、悠に愛想を尽かして他の男と遊んでいるんだろう、まったく、僕にしておけばいいものを……」
「お父様ー、大丈夫ー?」
「おじたま!なんてこと言うの!」
「で、でも優姫、そうとしか考えられんだろう」
「お父様―、息してー」
はい、ラマーズラマーズひっひっふー。
「お母様が遊びで恋するはずがないじゃない!もし他の男性がいるなら、本気よ!」
ぎゃっ!ゆっきーなんてこと言うの!!
いやぁぁああああああお父様の心臓止まってるぅぅぅうううう!!!!!
「お兄様、どうしよう!お父様が!」
「お父様、しっかりしてください!」
「樹里が……他の……男と……。……僕は……もう……だめだ…………」
「お父様!……っ、悠っ!しっかりするんだ!」
ぎゃぁぁぁああああああああああーーーーーッッッ!!!!
突然のお兄様の悠呼び!!!それをこんな至近距離で聞けるなんてっっっ!!!
やっばい威力がやばいんだけど!!!!どうしよう鼻血を噴射しそう!!!!!
そのままお父様を抱きかかえてもう少し顔を近づけてお兄様!!
『悠…、死んではだめだ…!』
『枢…、あとのことは…頼んだよ……』
『いやだ…、悠…っ!』
『お前の気持ちに…こたえてやれずに…すまない……』
『違う、僕は……そんなことを望んでは……』
『だけど……それでも……お前は僕の……大切な……―――』
『悠…?悠……っ!!』
ずっと胸に秘めていた想いを告げることも叶わず後のことを託されて一緒に死ぬこともできず自分の腕の中でだんだんと冷たくなっていく愛しい体を静かに抱きしめて最後に今まで触れることすら許されなかった唇にそっと自分のそれを重ねてほしい……!!!(ノンブレス)
悲恋悠枢よきーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!
「悠…、死んではだめだ…!」
え!?うそ!?今の台詞は本当にお兄様が言ったよね!!?
めくるめく脳内妄想が現実に…!?!?!?
いやいやリアルはヤバいって!鼻血どころか心臓出ちゃう!!!
嗚呼でもお父様を抱きかかえるお兄様から目が離せないわ!!というかガン見ですけどね!!!!
リアル悠枢なんて死んでも見逃すものか!!!!!
どっきんどっきん高まる胸を(心臓が飛び出さないように)押さえる私の目の前で、お兄様はお父様の手を握りました
ひょおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!
「しっかりするんだ!」
「枢…、あとのことは…頼んだよ……」
「悠!――――死ぬのは相手の男を屠ってからじゃないと!」
「……!!」
ピッカーン!!と勢いよく光を取り戻した瞳。
お兄様の言葉でお父様は目を見開きます。
え??なに今の光??
「そうだね…、確かにそうだ。僕としたことがあまりのショックで考えが及ばなかったよ」
ふっふっふ、と不気味な声で笑い出すお父様。
あー良かった、心拍も呼吸も戻ったみたい。
「僕から樹里を奪おうなんて愚か者には、生まれてきたことを後悔するくらいの地獄を見せてやらないとね…」
「そうですよ、お父様」
「そして樹里も…。他の男に目移りするなんて僕の愛し方が足りなかったみたいだ。……千年くらいかけて僕の愛を分からせてあげないといけないね」
「その意気です」
「それでこそ我が血を引いた玖蘭の男子」と言わんばかりにお兄様、もといヤンデレの始祖様は満足そうに頷きました。
ああん、始祖枢しゃましゅきぃぃぃ。
じゃなくて!!
お母様逃げてぇぇぇぇええええええええ!!!!!
―3/7―
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