とある乙女の華麗なる日常 | ナノ
episode18


「樹里の様子が変なんだ……」


ある日のこと、お父様は今までにないほど打ちひしがれた様子でそんなことを言い出しました。
え、急にどうされたの??


「みんな気付いていないかい?最近、樹里の外出が多くなったこと」

「そう言われてみれば…」

「確かに」


優姫と顔を見合わせて頷き合います。
お母様、今日もいないしねー。


「今日はどこだっけ?どこかの貴族の家のお茶会?」

「三日前は来シーズンのお洋服のお買い物で…」

「先週は私たちのお部屋の模様替えをしたいからって家具屋、だったっけ?」


でもお洋服はその日のうちに私たちの分も大量に屋敷に届いたし、家具もたくさんのカタログを見せてもらったし、
特に変わったそぶりはなかったはずだけどなぁー。


「ほらお父様、お母様は社交的だから、最近は予定が立て込んでいるだけじゃ…」

「違うんだよ、珠姫」


お父様は青ざめた顔で深くため息をつきました。
うぉ!よく見たら目の下のクマがすごい!まさか眠れてないの!?
純血種の回復力をもってしても取れないクマって何事よ!?!?


「一年ほど前から樹里宛への手紙が8.5%ほど増加したんだ。ここ半年では15.3%も。それに比例して外出も増えている。
前だったら買い物やコンサートは僕も一緒について行っていたし、ご婦人方とのお茶会だって必ず送り迎えをしていたのに、今じゃそれもいらないと断って……」


え、お父様、お母様の手紙やら外出の回数を記録しているんですか!?
そして統計まで取ってるの!!?
お兄様もおじたまも平然とうんうん頷いているけど、え、これって普通なの!?
玖蘭家のヤンデレ遺伝子ーーーー!!!ってそんなとこも好きですが!!!!!


「そして先月と今月に至っては外出の割合がこれまでの33.4%増だ。そして……」


お父様はテーブルがガタガタ揺れるほど震え出しました。
ちょ、ちょっとお茶がこぼれる!


「そして……調べてみたら……、樹里と懇意にしている……貴族の家で……今日……お茶会の予定は…………ないんだよ……」


まるでこの世の終わりかと言うような顔で、息も絶え絶えにお父様は呟きました。


―2/7―

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