episode2
んーこの状況、どうするべきか。
『おとうさま』も『かなめ』も『りどおじたま』も言いたいんですよ。
でも悲しいことに私は赤ちゃん……。
たぶん喋ったところで何て言ってるかわかんないよねー。
あー、それにしても李土様のくるくるの髪の毛がほっぺに当たってくすぐったい。
くすぐったい
くすぐったい
くすぐったい
李土伯父様くるくるがくすぐったいよー。
くるくるがくるくるがくるくるがくるくるが
くるくるくるくるくるくるくるくる
「くるくる」
突然3人がものすごい勢いで私を見ました。
えっ?
えぇ!?
私いま、喋った!!??
「珠姫、いいいい今なななな何て言ったのかな?」
お父様が震える声で言いました。
わんもあ・ちゃれんじ☆
「くるくる」
おぉー!はっきり喋れたよ!!
すごーいすごーい私ー!!
って、私の初の言葉って『くるくる』???
「珠姫はお利口だな、僕の髪の毛のことだろう?」
「今、珠姫は僕の方を向いてましたから、僕のことですよ、お兄様。僕の髪もくるくるですから」
「それは頭が、ということか?ふっ」
「じゃあ、お兄様のことじゃないですか」
「なんだと……?」
そんな玖蘭兄弟の口げんかの中、私の体はふわりと抱き上げられました。
枢お兄様に。
「伯父様、3分13秒経ったので、珠姫はもらっていきます」
突然のことに茫然としている二人を残して、お兄様はリビングを後にしました。
もらっていきますって、これはまさかの愛の逃避行ー!?
どこまでも貴方についてゆきますっお兄様っっ!!
―6/8―
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